7月10日  
鈴木里沙さん 篠原久美子さん

けんかの台本を考える
本日の講師

本日は鈴木理沙さん(左)と篠原久美子さん(右)が
即興劇や、台本のある短い劇について
教えてくれました。

お二方とも年間を通して演劇の授業を
見に来ていただいているので
子ども達にとってはすでに顔なじみの先生です。
ウォーミングアップ

動きの激しい劇でなくとも、
まずは身体を動かして
ウォーミングアップをします。

身体全体で演技をし、表現するために
全身を伸ばし、感覚を研ぎ澄ませます。
ウォーミングアップ

支えあう感覚を、二人組みでバランスを取りながら感じました。
一人ではできない体勢を作り、
信頼や、お互いの存在を感じる感覚を大切にしていきます。
台本のあるケンカの芝居

あらかじめ書いてあったた子ども達の「けんかの台本」を
劇作家の篠原さんが練習用に短くアレンジしてくれました。

お小遣いをせびる兄弟(姉妹)と、お母さんのケンカを演じます。

「とっくにおこづかいの日はすぎてんだよ。」
「塾の帰りに飲ジュース代だってもうないよ。
 子どもがかわいそうだと思わない?」
「うちから麦茶持ってけばいいでしょ。水筒で。
 環境にいいわねー。」
台本のあるケンカの芝居

まったく同じ台本を演じているのに、
何となく毎回、違う感じがします。

役者の演じ方で、劇の印象が変わることを
感じることができました。
即興でのケンカの芝居

「わたしのおやつ、食べたでしょ。」

設定だけをもとに、即興で台詞を考え、
2人で掛け合いをしていく即興劇です。

「いいや、食べてない。」
「口にチョコが付いてるよ。」
「・・・ついてない。」
「いま、拭いたでしょ。絶対うそだ。」
即興でのケンカの芝居

「ぼくじゃないよ。きっとお父さんが
 お昼に帰ってきて食べたんだよ。」
「そんなわけ無いじゃない。」
「あるかもしれないじゃん。10%くらいで」
「じゃあ90%はちがうんじゃない」
「・・ごめん。本当は犬だった。」
「ありえない。お皿は高いところに置いてあったから。」

様々な言い逃れを
実に鋭く追及していきました。
即興でのケンカの芝居

自由な発想とそれに応じた見事な切り返しの中に
名台詞、名演技が生まれました。

相手の言葉を、自分の気持ちがしっかり受け止めた時に、
演技であっても本当に腹が立ったり、嬉しくなったりします。

この心の動き、二人でつくり出す「本気」のやりとりが
リアルな芝居を作りだしている要素なのだと
教わり、子ども達も次第に分かってきました。
即興でのケンカの芝居

「無理におもしろいことをしなくてもいい。
 まじめにやり取りしようと、本気になれば
 それはおもしろい劇になるのです。」 と篠原さん。

2人のケンカにお母さん入る設定でも
お母さんが絶妙なタイミングで
冷静なツッコミを入れる場面がありました。
本当にそういうお母さん、いそうだなあ、
という声が聞こえてきました。
最後に

素に戻ることなく、最後まで演じきった子ども達。

その発想力や、切り返しの頭の回転はもちろん

お互いの言葉をきちんと受け止める聞く力、
劇中に湧き上がった気持ちを、しっかり出せる表現力に

篠原さんも、鈴木さんも先生方も感心しきってしまいました。