これまでもいくつかいじめ行為の例を紹介してきました。今回、教師と弁護士の二刀流でもいらっしゃるスクールロイヤーの方のお話を引用させていただきながら、あるケースをご紹介します。
《CさんはDさんから「〇〇」と言われて傷ついて学校に行けなくなった。そこで、教師がDさんに事情を聞いたら、「Cさんが先に「〇〇」と自分に言ったから、言い返した。自分のほうが被害者だ」と回答した》
~いじめではどちらが被害者で、どちらが加害者か判断しづらいことがよくあります。被害者と加害者がある時点から入れ替わっていることも少なくありません。このケースではCさんとDさんはお互いに同じ行為をしています。しかも、先にやったのはCさんのほうです。しかし、DさんよりもCさんのほうが、より精神的に傷つきやすかったので、結論としては、法律上のいじめの被害者はCさん、加害者はDさんになります。このように、いじめ防止対策推進法では、精神的にタフな子どものほうがいじめの加害者になりやすくなる可能性もあります~
「結論」としてスクールロイヤーの方の見解が述べられておりますが、この結論は特にDさん自身とそのご家族は納得されるのでしょうか。今回のケースのようないじめをはじめ、学校現場に法律を形式的に適用すれば、かえって不都合が生じるケースがよくあるということもよく聞きます。少し時間をかけてでもきちんと双方と周りの人たちから聞き取りし、丁寧に対応する必要があります。当事者同士で解決できる力をつけていくことも、学校の大事な責務といえます。