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2021.05.16学園だより5月号「おもいっきり考えよう」

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 4月22日のホームページ、学園長ブログ「アースデイ」のところで紹介したのですが、日本政府の温室効果ガス削減を求める高校生らは「今声をあげないと、僕たちの未来が決まってしまう」と話しています。現在の地球は過去1400年で最も暖かくなっています。地球温暖化により、気温の上昇ばかりではなく、大雨、干ばつといった気候の変化。早い春の訪れによる生物の活動の変化や、水資源、農作物への影響など、すでに生態系や人間社会に影響が表れてきています。将来地球の気温はさらに上昇すると予想されており、影響はより深刻化することも考えられます。そして、この地球温暖化という問題について「どう考え、どうしていけば良いのだろうか」と結んでいます。身近なところから言えば、総合的な学習の時間で「高円寺のまちの課題」について考えてきました。出された課題としては「放置自転車の問題」「阿波踊りのときの便乗ごみ」「落書きが多い」「駅のそばに多くの人が集まっている」「新型コロナウイルスの関心が低い」などを始めとして多くの課題が指摘されており、それぞれについて実際に行動してきたものもあります。特に、阿波踊りの便乗ごみは杉八小が継続して取り組んできたことでもあります。昨年度は阿波踊り自体が開催されませんでしたが、高円寺のまちや振興協会もこれからの阿波踊りについて考えているはずです。

 高校の学習指導要領が変わる来年度から「総合的な探究の時間」が始まります。教科書を使わず、身近な問題の解決策などを考えていく授業になるそうです。グループや個人で、各教科の知識を使ったり、図書館や現地調査を通じて探究していきます。実生活や実社会での課題解決に向けて、各教科で学んだことを統合的に働かせながら探究していくために、大学、行政、企業などとの連携、協働しつつ、地域の実態にあわせた活動をしていくことになろうと思います。そして、これらの取り組みを行っていくためには、小中学校。高等学校の各教科の学習が重要であることは言うまでもなく、各学校で取り組んできた習得・活用・探究という学びの過程をさらに活用していかなければなりません。

 ところが、「考える方法」についてという基本的なことについて学ぶ機会はあまりありません。私たちはたえずいろいろなことを考えているはずなのですが。何をどうやって考えるのが良いのか。頭をどうやって使えば良いのか、説明してくださいと聞かれた時、説明しにくいことも事実です「考えること」とはどんなことなのでしょうか。おそらく、自分自身に対して「問い、語ること」ことではないでしょうか。例えば、一人で考える時、自分に問いかけては答え、さらに問いかけてはまた答えと、それを繰り返していないでしょうか。つまり思考とは自分自身と「対話」することなのです。そして対話であるとすれば、語る相手、つまり「聞く」人がいるはずです。一人で考えている時、この聞き手は自分自身なのですが、考えを深めていくためにはどうしても他者が必要になります。したがって「考えること」は、他の人との対話で、「共に問い、考え、語り、聞くこと」であると言えます。「考えること」とは、このようにごくありふれたことともいえます。そして「共に生きること」と言い換えてもいいかもしれません。互いに「問い、考え、語り、聞く」こと。このように共に考える営みは、人と人が共に生きていくことそのものかもしれません。だとすると「考えること」は実は簡単なことのような気がします。しかし、日常生活を振り返ってみたとき、「常に考えていますか」と言われたら、「はい」とは言えません。日常的に「考えないこと」が当たり前となっているのかもしれません。

 幸い私たちは毎日学校に来ています。日々いろいろな知識を獲得。そして、その知識を使って、さらに新しい知識を作り出し、みんなに伝えています。とても新鮮で刺激的なことです。そして、このことを通して「本気で学びたいと思う」ことがきっと「考えること」につながっていくのでしょう。例えば、日々の授業や生活の中で、「不思議だ。どうしてだろう」と感じると、興味が湧いてくるので、自分で考えたり、他の子に意見を求めたりします。「さらに理解を深めたい」と思うから、比較したり、分類したり、理由づけしていきます。考えることはとっても楽しいことなのです。学園の先生方は、みんなに興味をもたせ、日常生活やすでに学習した内容と結びつけてくれます。そして、学んだことの成果として、「このように考える力がついた!」といった実感を、皆さんがもてるような授業を目指してくれています。「考えること」をあたりまえにしていくためにも、今年は「おもいっきり考える」ことを積み重ねてみようではありませんか。おもいっきり考えることのできる課題はそこにも、ここにも、いっぱいあります。

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