2024.06.18今日から中学部の定期考査が始まりました。 「定期考査はなぜあるの。」
6月18日火曜日、中学部では20日木曜日までの3日間、今年度の初回となる定期考査が行われます。今日は、生憎の雨という事も重なって中学部生にとっては憂鬱な一日となっています。特に7年生は人生初となる定期考査ということもあり、緊張した表情の生徒が多いようです。
定期考査は、ある一定期間内の学校での学習や自宅での予習・復習がどのくらい定着しているのか、思考力等が高まっているのかを評価・確認するために行われます。本学園では1学期1回、2学期2回、3学期1回の計4回実施されます。
初めての考査を迎える7年生の多くが、この定期考査の結果により通知表に記載される「5.4.3.2.1」の評定が決定するという誤解をしている人もいるようです。それ故、日常、あまり家庭学習をしない生徒も、定期考査前は、「テスト勉強」として、いつもの学習を越えた時間、家庭学習をしているようです。本学園の生徒だけではなく、日本中の中学生がこの定期考査の日を憂鬱な気持ちで迎えるのは、定期考査を学習上の大きな目標、言い換えれば学習の目的ととらえているからかもしれません。
言うまでもなく、学校での学習は、将来児童・生徒一人一人が幸せに、そしてたくましく生きていくために必要な学力(知識・理解・技能、思考力・表現力・判断力、学びに向かう力等)・体力・豊かな心等を身に付けるため、高めるために行うものです。中学部生になると自分の夢・目標を実現するために進む高校等の受験に合格するために行うという面も強くなるのかもしれません。いずれにしても、定期考査で良い点をとるということが最終目標ではなく、学習状況の不十分な部分に気付き、その部分を再度学習し、定着させることこそ、学習者(児童・生徒)にとっての本当の目的となります。教師が評定を付けるためだけに行うのであれば、それは日常の授業の中で、学習の様子を観察したり、単元末テストなどの小テストを繰り返したりすることでも可能です。ではなぜ、定期考査をするのでしょうか。
私は学力向上を成し遂げる特効薬はなく、学習者一人一人の学習意欲を高めるとともに「学習の質を高めるとともに量を増やす」ことによってのみ学力を高めることができるのだと先生方、保護者の皆さんに様々な場をお借りして話をします。学校は先生方が指導法を研究し、教える技術を高め学習の質を向上させることはできますが、1単位時間を増やしたり、一週間あたりの授業時間を増やしたりすること、つまり時間を増やすことはなかなかできません。それに対して、家庭学習の時間は心掛け次第で児童・生徒が増やすことができます。単純にスマートフォンを使用する時間、ゲームをする時間、テレビを観る時間を削って学習にあてれば、学習時間はすぐに増やせます。しかし、何か大きな成し遂げたい目標がないとなかなか学習時間を増やすことはできません。
定期考査は、ある意味、短期的な目標となります。また、その目標を実現するためのスケジュールを立てる(計画表等を作る)ことにより、計画的に目標を達成しようとする手立てを獲得することもできます。さらに、頑張って目標を達成した時には、新たな学習意欲や自己肯定感を高めることに繋がります。時には、学習の成果が出なかった時にも、なぜ、良い結果がでなかったのかを深く見つめ、できなかった箇所を再学習したり、計画の立て方の見直しが図られたりすることに繋がります。また、次の目標に向けてリベンジしようという気持ちを高められるのかもしれません。
生徒たちが日々、定期考査に向けて家庭学習をする期間、先生方も夜遅くまで、定期考査の問題作りをしています。せっかく、定期考査をするのなら、生徒たちが学習状況を評価できる良い問題を作ることも必要です。高円寺学園では、「生徒が勘で答えられる問題(二択・三択など)、国語力が高い生徒が考えずに応えられる問題(国語以外の教科において)を出題することはやめる。」「思考・判断力・表現力をしっかりと評価できる問題を出題する。」など教師間で目標を作り作問しています。故に他の中学校よりも問題が難しいのかもしれません。その分、中学部生徒は上の学年に行くほど、学力が向上していきます。
生徒たちには、「定期考査は何のためにあるのか」「定期考査を何のためにするのか」等、この機会にもう一度、考えてもらいたいと思います。そのことを深く考えられる生徒こそが自身の目標を早く達成できる生徒だとも思います。