園のお知らせ>>令和6年度 園だより >>8月 9月
令和6年度 園だより
9月 たいせつな なかまと じぶん 園長 五十嵐美緒子
就学前の子どもにとって、一人一人が安心して生活できることはとても大切なことです。
日々の遊びや生活の中では、たくさんの小さなトラブルがあります。
「仲間に入れて。」と言えば必ず入れてもらえるというわけでもありませんし、「貸して。」と頼んでも貸してもらえないことは、よくあります。大型積木で友達と家を作り、遊んでいる子にとっては、今の楽しい状況に急にやってきた他者を迎え入れることは、簡単なことではありません。一方、楽しそうに遊んでいるところを見て、仲間に入りたいという心情も十分に理解できます。そんな場面では、「いやだな。」「やめてほしい。」といった気持を味わうことになります。
こうした気持ちを味わうことも、教育目標の「たいせつな なかまと じぶん」の達成のためには必要な体験です。小さなトラブルの解決方法を子どもたちと一緒に考えていくことができたらと、各学年では様々に工夫しています。
例えば、うさぎ組なら「一緒に遊びたかったのね。でも、いっぱいで入れないから、お隣におうちを一緒に作ろうか。」「お客さんになってお邪魔してもいいですか?」と声をかけてみます。、くま組の子には「どうして仲間に入れないのか、お話してみよう。」と投げかけることもしています。ぞう組だったら、自分の言葉で相手に気持ちを伝えようとしているか、相手の話に耳を傾けているか、解決できなさそうでも、気持ちを切り替え、別の遊びを見つけることができるかなど、しばらく見守ったりします。
杉並区では「(仮称)杉並区いじめ防止対策推進条例」の制定に向けた取組を進めています。
子供園では、“仲間に入れてくれない”“いやなことを言った”=“いじめた”“いじめられた”と考える前に、丁寧に子どもたちの心情をとらえ、育ちを支えることで、安心・安全な暮らしを保障し、『たいせつな なかまと じぶん』を目指していきます。
安心・安全な生活が保障されず不安になると、自分を守りたい気持ちが強くなります。その分同質を求めたり、異質を排除したりしたいという心情も、生きていく上で自然な姿でもあります。
生きていく上で、人とのかかわりは欠くことができません。気持ちが通じ合い、自分の気持ちも仲間の気持ちも大切にし、楽しく充実した遊びを展開してほしいと願っています。
そうなるためにも、思うとおりにできない経験とそれを乗り越える経験が必要です。
そうした経験が、いじめを未然に防ぐ力につながると考えています。
8月 子どもの人権 園長 五十嵐 美緒子
子どもへの虐待や体罰、いじめ、不登校など、子どもの人権にかかわる様々な社会問題があります。こうしたことを少しでも減らし、子どもが一人の人として大切にされ、さらに自分も他の人も大切な存在であると感じることができるようになることが求められています。東京都公立幼稚園こども園長会は、東京都の人権教育推進団体として、様々な研修を重ねています。先日も講演会があり“児童の権利に関する条約”や今年度制定された“こども基本法”さらには“東京都こども基本条例”等の法令や“こども家庭庁”の概要も含め、「子どもの人権について」のお話を伺いました。
「自分も人も大切する子」は、下高井戸子供園の教育目標の一つです。
一人一人の子どもが大切にされ、安心できる子供園つくりを目指しています。
子どもは小さく守るべき存在であることは確かです。その一方で、大人から見るとできないことも多く“一人の人”として見るには、まだ・・・と感じることもあるかと思います。
やろうとしていることを危ないと止められることもあります。なかなかうまくできないでいると、大人が手を貸してしまうことで、挑戦するチャンスが減ってしまうことが子供園でもあります。
子どもたちが、自分は大切にされていると感じることができる時とは、どんな時でしょう?
子どもたちは、小さいながらも毎日どんどん育っています。一人で着ることができなかった服を着ることができた。転んで泣いたけれど自分で立ち上がった。けんかをしたけれど自分の気持ちを話した。思ったように作ることができずに悲しかったけれど、もう一度やってみたら今度はできた。恥ずかしかったけれどお世話をしてくれたお兄さんにありがとうが言えた。小さな失敗と成功を繰り返し、壁を乗り越えた子どもは、大切な力を得ています。そしてその姿を身近な大人にきちんと見届けられることで、自分は大切にされている、一人の人として認められたと実感することができます。子供園では、そうした生活を展開できるよう日々努めています。
幼児にとって「自分」は、わかりにくいものです。「自分」のことは目に見えないので、わからないのは当然とも言えます。また「自分」と「他の人」の区別も難しいものです。10歳くらいになってようやく自分のことを客観的に感じることができるようになり始めると言われています。うさぎ組の子どもたちは、生まれて3年。年長でも歩き始めて5年です。“自分を大切にする”と子どもが感じることは難しいことです。周りの大人が自分のしていることを一緒に楽しんでくれる、困ったときに一緒に考えてくれると感じた時、子どもたちは「自分が大切にされている」と感じることができます。大好きな人に自分が大切にされていると感じることができると、次は自分も人のことを大切にしようという気持ちが育っていきます。
7月21日から子供園は夏季休業期間です。☀おひさまチームも☆ほしチームも、少し生活環境が変わります。それぞれのご家庭で夏の計画もあるかと思います。大人も自分で自分を大切にし、身近な存在を大切にして、暑い夏を乗り切りましょう。そして実りある2学期をみんなで元気に迎えましょう。