令和2年度 園だより

9月  自分で考えて行動する子      園長 五十嵐美緒子

間もなく“特別な夏”が終わり、実りの秋がやってきます。
世の中を見ると、まさに“特別”という感がありますが、小さな子どもたちにとっては、一瞬一瞬が特別なことです。それは、これまでも、これからも変わりません。元気いっぱい水遊びを楽しむ姿や、保育者の読み聞かせをきらきらとした瞳で見入っている姿を見て感じます。子どもたちにとっては、毎日が新しく、“特別”な出会いです。
 子供園では、一人一人の子どものその特別な時に、『主体的に生活を進めていくことができる子ども』=『自分で考えて行動する子ども』を育てたいと考えています。そのことで、思考力や理解力、判断力、表現力など、大切な力を身に付けることができるからです。
 
幼稚園教育要領・保育所保育指針には、ねらい及び内容に基づく活動全体を通して資質・能力が育まれている幼児の修了時の具体的な姿として『幼児期の終わりまでに育ってほしい姿(子供園修了時の具体的な姿です)』が書かれています。その中の一つに、「思考力の芽生え」があります。

身近な事象に積極的にかかわる中で、物の性質や仕組みなどを感じ取ったり、気付いたりし、考えたり、予想したり、工夫したりするなど、多様なかかわりを楽しみます。また、友達の様々な考えに触れる中で、自分と異なる考えがあることに気づき、自ら判断したり、考え直したりするなど、新しい考えを生み出す喜びを味わいながら、自分の考えをよりよいものにします。

子どもたちは、昨今のWITHコロナの状況下でも、身近なできごと、友達や保育者のしていること、遊具や教材、自然の事象など、たくさんのものやこと(出来事)に出会っています。そして、そこでの気付きや驚き、喜び、不安、悩み、不思議さなど 様々な心の動きも経験します。出会い、自分から関わり、取り入れたり、葛藤したりしながら、学んでいます。毎日、自分で考え、自分でやってみて、また発見し・・・の繰り返しです。そして、そこでわかったこと、経験したことを使って、また、新しい出会いと関わっていく力を育んでいきます。
 実りの秋。たくさん体を動かし、友達や先生、そして、おうちの人と、たくさん触れ合い、作ったり、かいたり、見たり、聞いたりしながら、大きく育っていってほしいと願っています。毎日が新しく特別な幼児期。芽生えの時です。子どもを取り巻く環境や大人たちは、どのようなかかわり方をしたら、こんな子どもたちを育てることができるでしょうか。
 運動会も劇場も、これまでとは違う形になりますが、子どもたちにとっては、新しい特別な出会いです。一つ一つの出会いが価値あるものとなるように、日々の生活や遊びが楽しく充実したものとなるよう、活動の進め方や環境構成を工夫し、一緒に楽しみながら、学びを深めてまいります。

ぎゅーっと抱きしめる              主査 渡辺聡子

新型ウイルスの影響で延期になっていたJリーグが開幕しました。その直後、サッカーの試合でゴールを決めた後の「歓喜のポーズ」のひとつである選手同士が抱き合って喜びあう行為はよろしくないのではないかと、議論になったというニュースを聞きました。感情表現が議論の対象になったことに、あらためてこのウイルスによってもたらされた現状を感じさせられました。
 
今回の新型ウイルス対策は、誰もが未体験で正解が見えないために、“心配なことはやめておこう”“なるべくやらないようにしよう”という発想になりがちです。私たちも感染防止対策のために手探り状態で1学期を過ごしてきました。少しでも子どもたちのためにより良い環境を作り出そうと、たくさんの思いを巡らせながら考えてきました。その中で最も大切にしたことは、子どもたちが本来持っている湧き上がる気持ちや、友達と関わろうとする気持ちを尊重すること。そして、大人が知恵を絞り工夫しながら、いつもと変わらない刺激を受けて経験からしか学べない機会を作ることでした。

 子どもは抱きつくことが大好きです。
触れ合うことでいろいろなことを確かめ、心が満たされることで、免疫力を高めているとも言われています。
 まだまだ先の見えない中だからこそ、こういった“人同士の触れ合い”をたくさんたくさん繰り返すことを大切にしたいですね。
暑い夏本番を迎えますが、どうぞおうちでこそ、たっぷりと、
ぎゅーっと抱きしめてあげてください。