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令和3年度 園だより
7月 共に育つ異年齢の関わり 副園長 原 麻弓
6月中旬に、年長ぞう組が、年少うさぎ組・年中くま組を招き、“ぞう組商店街”を開きました。
年長組の子どもたちが、自分たちの好きな遊びの中で、いろいろなお店屋さんごっこを楽しんでいたことから始まった“ぞう組商店街”。年長組では、学級の一つのめあてに向かう中で、自分のしたいことに取り組み、必要なものを考えたり作ったりすることを楽しむことを経験できるように進めていきました。
毎日、みんなで集まった時には、“商店街ニュース”として、各店のメンバーが「今日は、看板を作りました。」「明日は、ボールを作ります!」など、その日の取組や翌日の予定を発表し合い、学級のみんなで“ぞう組商店街”を進める気持ちがもてるようにしてきました。担任の作った“商店街カレンダー”を見ては、「あと2回で、くま組さんが来る!準備しなきゃ!!」と見通しをもって取り組もうとする姿も見られました。2〜4名の仲間と一緒に進める活動ですから、自分の思うようにばかりは進まないこともたくさんありました。その都度、保育者と子どもたちが一緒になって、“ぞう組商店街”の開店のために相談し、解決してきました。
当日は、くま組、うさぎ組の小さなお客さんを相手に、身振り手振りを交えながら遊び方を教えてあげる姿がありました。ほかにも、自分から「何色のお花が欲しいですか?」と尋ねる姿、「いらっしゃいませー!」と張り切って声を掛ける姿など、店員になりきって、そして、年上のお兄さん、お姉さんとして行動する姿がありました。年長組としての意識が高まってきました。
さて、“ぞう組商店街”のお客様として参加した年中組の、その後を見てみると、・・・。
担任が、「目の色が変わって、ぞう組さんの真似をして作り始めたり、材料を要求してきたりして、遊ぶぞという意欲をメラメラと感じました!!」と興奮するほど、遊びへの姿勢に変容が見られたそうです。
真似をするだけではなく、「自分はこの遊びをやってみたい。」「この材料を使って、何か面白いものが作れそう!」といった、遊びや自分で作ることへのやる気、期待感をもつことができました。
年中組の保護者の方からは、「“ぞう組商店街”に行ってから、家でも“〇〇ちゃん商店街”と言って、遊んでいるんです。」という言葉もいただきました。
年長組が年下の友達のために取り組むことは、遊びだけではなく、生活の中でもたくさん見られます。それは、年長組の育ちにとって大切なことばかりではなく、年少組、年中組にとっても、刺激となり、憧れとなり、子供園の文化として引き継がれていくものです。
コロナ禍ではありますが、異年齢の関わりがもつ育ちのチャンスを、これからも見つけていきたいと思います。
6月 わたしも うれしいな 園長 五十嵐美緒子
子どもたちが植えた野菜が根付き、新しい葉を一枚、また、一枚と増やしています。毎日、「大きくなったかな?」「お水あげよう」と、見に行く姿があります。「土が白っぽくて、乾いているから、たくさん水をあげよう。」「こっちは少し湿っているね」と、やり取りをしながら、確かめているぞう組さんもいます。「花が咲いてる。」「芽が出た!」とうれしい声も聞かれます。
今年度の下高井戸子供園の教育目標の重点目標は
◎ 自分も人も大切にする子 です。
どんな子どもの姿を思い浮かべますか?友達と一緒に遊ぶ、転んで泣いている子にやさしく接する、相手の話をよく聞く、友達と力を合わせる・・・などなど、いろいろな姿が子供園の中でも見られます。
子どもたちが「自分も人も大切」と思えるようになるためには、その子自身が「大切にされている」と実感できることが、欠かせないと考えています。毎日の遊びや生活の中で、大人も子どもも一緒に「楽しい!」「おもしろい」と感じたり、「困ったね」「さみしいな」と寄り添ったりする姿がたくさんあります。
クレパスで黙々と色を塗ったり、空き箱を組み立ててギターを作って演奏したりする姿をニコニコと見守り、できあがると目と目を見合わせて、満面の笑顔になっている場面もあります。友達同士でもそうした姿が見られます。けんかになることもあります。自分の思った通りにならなくて、思わず大きな声を出してしまったり、手が出てしまったりすることも…。そんな時も、そうせずにはいられなかった気持ちを「〇〇したかったんだね。」「どうしたらよかったかな?」などと聞き取って、気持ちを立て直せるように支えています。双方に、互いの気持ちを伝えることも丁寧にしています。相手にわかってもらえた安心感や喜びで、自分が大切にされていることを感じられます。大人でもうれしいものですね。
先日、特別支援教育の研修会で、「うれしかったね。」「いやだったね。」とその子の気持ちに共感するだけでなく、先生がどんな気持ちだったのかを伝えることが大切だと、教えていただきました。信頼する相手が、「うれしかったよ。」と伝えることが大切と聞きました。自分で考えて生活できるようになるためにも、まだ深い理解が難しい幼児期には、そうしたやり取りを重ねていこうと共通理解しました。
「あなただったらどうする?」「こういうやり方はよくないよね。」というルールを伝える一方で、信頼する大人の「うれしかったわ。」「悲しかった。」などの気持ちを伝えることで、相手の存在を感じ取ることができるようになっていきます。結果として「できた」「できない」という評価ではなく、その過程で感じた気持ちや、取り組む姿そのものを認め、たとえ失敗したり、大人が期待する姿でなかったりしても、「やろうとしたんだね!」という受け止めも大切にしていきたいと考えています。