令和3年度 園だより

3月 まとめの 3月 大きく伸びる!  園長 五十嵐美緒子

 今年度、最後の月です。
 先日ぞう組の子どもたちに修了式を行うこと、そして、そこで修了証書を渡すことを伝えました。「修了証書は、みんなが子供園でたくさん遊び、友達と一緒にいろいろなことに挑戦し、自分のことをしっかりと自分でできるようになって大きくなりました、というお手紙です。」と話しました。毎年、年長組に話しています。そして毎年、どの子も真剣な顔で聞いています。自分が大きくなったことを実感していることがその表情からもうかがえます。
 うさぎ組は、入園からたくさんの遊びを楽しんできました。うさぎ組という場を、自分の生活の場、安心して過ごせる場と感じ、そこで出会った先生や友達と過ごす中で、自分のやりたいことを見つけ、遊びながらたくさんのことを学び大きくなりました。うさぎ組のみんなで一緒に歌ったり、体を動かしたりすることもとても楽しんでいます。
 くま組は、友達と一緒に遊ぶことが本当に楽しくなってきました。それは、明らかにうさぎ組の友達との関わり方とは違います。おしゃべりもじょうずになり、その分ぶつかり合うこともたくさんありました。それでも一緒が楽しいと感じ、また一緒に遊ぶ中で、相手の気持ちへの気付きや思いやりもたくさん感じられるようになりました。一緒に遊ぶことで、互いに育ち合っていくことが、見てとれるようになりました。
 ぞう組だけでなく、うさぎ組もくま組も、同様に自分たちが大きくなったこと、もうすぐ一つ大きな組になることを楽しみにし、張り切っています。
 
 「遊びは学び」と子供園では常に考えています。遊びの中で、時には失敗し、時には喧嘩もしながら、人と一緒に過ごす心地よさや充実感を味わっています。いろいろなものを作ったり、様々な活動に挑戦したり、最後まで頑張ろう、やり遂げようと取り組んでいます。“あきらめないでやってみた”“みんなで力を合わせてできた”という達成感も、それぞれの育ちに応じて経験し、味わってきました。ままごとや砂遊び、大型積み木、歌やダンス、合奏や劇遊び、おに遊び、運動遊びなどなど、子どもが心を動かし、“楽しい!”“やってみよう!”と取り組む遊びの中で多くの体験を経て、たくさん学び、力を伸ばしてきました。
 今年度も残り僅かとなりました。新しいスタートを前に、集大成の3月です。この時期は、安定した人間関係の中で大きくステップアップする時でもあります。一日一日を大切に過ごし、一人ひとりが自立し、豊かな感性と心情をもって、元気に主体的に動き、よく考え、ググッと育っていきます。伸びていこうとする力がむくむくと子どもたちの中で育っています。最後の総仕上げを、職員も全力で支えています。
 
 杉並区の新しい教育ビジョンについて11月の園だよりでお知らせしました。「みんなのしあわせを創る杉並の教育」は、子どもも大人もみんなが教育の担い手となり、互いに学び合い、伝え合い、教え合い、みんなでしあわせになることだと考えています。
 「遊びは学び」遊びが好きで、その中でたくさんのことを学び、自分が好きになり、自分を大切にできる人になります。自分が好きで、自分を大切にできる人は、人を大切にでき、人が好きになります。出会いが広がり深まることで、人として大きく育っていくことができます。その繰り返し、積み重ねが育ちに繋がります。ご家庭でも、これまでの育ちをしっかりと受け止め、それが一人ひとりの自信となるように、お子さんに伝えてあげてください。

2月 子どもの「遊び」は「学び」    副園長 原 麻弓

 先日読んだエッセイ*の中に、この言葉を見付けました。
私たち保育者は、「遊び」の中で子どもは育つと考え、子供園での教育・保育を進めています。まさに、このタイトルの言葉どおりです。
 「学び」と聞くと、「勉強」を連想します。学校に行って勉強をすることが「学び」であり、休み時間や放課後に過ごすことは「遊び」と捉える大人がほとんどです。大人の生活の中でも、「遊び」は余暇や趣味を楽しむこととされ、“遊びの中で学ぶ、育つ”とは考えにくいものです。けれども、子どもにとっての学びは、遊びの中にあります。
 今、5歳児ぞう組では、ドッジボールを楽しむ幼児がたくさんいます。ドッジボールは、登園後すぐにやりたい幼児が集まって仲間同士で始まることもあれば、学級全体の活動として全員で取り組む時もあります。 この時大切なのが、ルールです。一人ひとりのルールが違っていれば、楽しい遊びにはなりません。そこに関わる者に共通したルールがあるからこそ、ゲームが進んでいきます。
では、ルールは誰が決めるのか。手っ取り早いのは「ドッジボールとは…」と保育者が遊び方もルールも、ボールもコートもすべてを説明し準備して始めることです。でも、ここに子どもの学びはありません。大前提としての、「ボールを当てられないように逃げる」ことだけが共通のルールとしてあれば、子どもたちが、自分たちの人数、力量、経験値によって、様々にルールを変えながら、より楽しくなるようにドッジボールを進めていくようになります。今は、保育者が描いたコートの中でドッジボールをしているぞう組の子どもたちも、あと数週間後には、参加する仲間の人数に合わせて、自分たちでコートを描き、楽しむようになってほしいと思います。初めは、大きすぎたり小さすぎたりするかもしれません。それを笑い合いながら、ちょうどよい広さを自分たちで見つけていく中に、図形への関心、言葉による伝え合い、協同性など、様々な「学び」を積み重ねていくのだと思います。
 日々の生活の中で、子どもたちの学びのために、大人が教えなければいけないこと、教えなくてもよいこと、教えてはいけないことを見極めていくことが大切です。
 進級・修了が近づくこの時期、子どもたちの育ちをどのように支えるか、職員一同、保護者の皆様と一緒に考えていきたいと思います。