令和4年度 園だより

3月 遊びは学び  培われてきた学びの基礎 園長 五十嵐 美緒子

いよいよ令和4年度末となり、うさぎ組くま組の進級、ぞう組の進学が近づいてきました。
ぞう組の子どもたちがうさぎ組の頃。自分の思いを伝えることが難しく、いやなことがあると泣く、やりたいことがあると大きな声を出す、ほしいものがあると手が出てしまう・・・そんなことがたくさんありました。自分が思っていることは、みんなが分かっていると思い込んでいることも多く、気持ちを言葉で伝えようとすることが難しい場面がたくさんありました。それが3歳児の姿であり、大切な体験でもあり、そうした経験を経て、自分のことを自分の力でしようとするようになり、自分のしたい遊びに夢中になって安心して園生活を楽しめるようになりました。今のうさぎ組も同じような姿が見られました。1年の生活を経て、ほしいものやできないことがあると「〇〇ちょうだい」「どうやるの?」「わからない」と言葉にして、自分なりに解決しようとする姿が増えていきます。友達が泣いていると「いたいの?」と尋ねたり、先生に「△ちゃん 転んだ」と知らせてくれたりします。
くま組になると、自分のやりたいことを見つけ、じっくりと遊び、自分の手で生活をすすめられるようになりました。
友達の遊びから刺激を受け、興味関心が広がりたくさんの経験を重ね、人とかかわる楽しさをたっぷりと味わってきました。自分のやりたいことがはっきりしてきた分、思いがぶつかり合うことも増え、もめごともたくさんありました。しかし、友達と一緒に遊ぶことで楽しさが増すこともしっかりと味わい、おしゃべりも盛んになりました。遊びと遊びがつながる楽しさもたくさん味わってきました。
運動会、下高劇場、下高音楽会という行事では、ぞう組の育ちをご覧いただく機会がたくさんありました。一人ひとりが、自信をもっていろいろなことに取り組めるようになりました。安定した生活と先生や仲間との信頼関係が培われた中で、アイディアを出し合ったり、折り合いをつけたりすることもできるようになりました。

進級、進学は新しい環境と出会う機会です。期待と共に不安もありますが、これまでの経験で得た力を信じて、進んでほしいと願っています。その礎を築くための経験をたくさん重ねてきているからです。
先日、幼保小連携教育に一緒に取り組んでいる高井戸第三小学校の研究授業を拝見しました。2年生の国語の授業でした。
題材を読んで知りたいと思ったことを出し合い、そのことについて多くの考えを言葉にしていました。先生や友達の話を聞き、
さらに考えを広げたり深めたりしています。気づいたこと、考えたことを文字にも表し、話し合ったことを踏まえて、自分が書いたことも振り返り、新しい気づきや考えを書き加えていました。小学校に入学して2年を経ると、こんなに成長するのかと、感心しました。ぞう組の子どもたちも2年後はこんな風に育っていくのかと思うと、とても楽しみです。
「小学生になっても、まだ言葉にして伝えることは難しいです。」と高三小の馬場校長先生がおっしゃっていました。新しい環境の中で自分の考えを表すことは、大きな不安や緊張感があります。話すべきこともより複雑になり、抽象化していきます。それでも大丈夫と私は信じています。子供園では、こうした学びの基礎を2年、3年かけて培ってきました。
新しい環境に出会う子どもたちが、新世界を楽しみ、新しい仲間と一緒に暮らしをつくる中で、互いのことを知り、自分の考えを広げ深めながら、ますます大きく育っていってほしいと願います。

2月 良さを生かして 伸ばして おおきくなぁれ! 副園長  原 麻弓

令和4年度も残すところ、あと二月です。子供園では、各学年で進級・就学に向けて
まとめの時期です。
まとめと言っても、みんなが同じようにできることや、何かを特訓することを目指すのでは
ありません。一人ひとりの持ち味を十分に生かし、「この遊びが好き」「先生と一緒が楽しい」「友達と一緒もなかなか良い」「あなたのこんな良いところ、知っている」という気持ちを、誰もがもてるようにしていきます。

子供園では、毎学期の初めに担任が“学期のテーマ”を掲げます。
3年間の最後を締めくくる年長5歳児3学期のテーマは“互いの良さを認め合う学級”です。
どの子にも、うんと素敵な良さがあり、まだまだ伸びていく伸びしろもあります。
伸びしろは、今はその子の課題となって、遊びや生活の中で表れます。
良さも課題も目いっぱい出しながら、自分の良さを知り、友達の良さを知り、それを受け入れ合い、認め合うことができるよう、3年間をかけて育ってきている子どもたちです。
「〇〇さんって、足が速いよね。だから同じチームになりたいな。」と目で見て分かる良さも
あります。
「〇〇さんって、一緒に遊んでいて楽しい。」と実体験を通して感じる友達の良さもあります。
それと同時に、「自分はこれが得意!」「これなら自信をもってできる!」という自分の良さも
分かるようになっています。
目に見える良さも、目には見えにくい良さも、生活や遊びを通して子どもたちは互いにたくさん感じ合っています。
子供園では、一人ひとりがもつ良さを膨らませたり増やしたりしていくことで、その子がもつ課題を包み込みながら一人ひとりを大きく育てています。
お子さんの新しい良さを見付けたら、お知らせし合いましょう!