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令和5年度 園だより
3月 しあわせいっぱいの子供園 園長 五十嵐美緒子
先日ぞう組の子どもたちに修了式を行うことを伝えました。「修了証書は、みんなが子供園でたくさん遊び、友達と一緒にいろいろなことに挑戦し、自分のことをしっかりと自分でできるようになって大きくなりました、というお手紙です。」「大事な手紙を自分が一番素敵な姿で受け取ってください。」と話しました。どの子も真剣な顔で聞いていました。
仲間と様々な経験を重ねてきたことで、自分で自分のことがわかり、自分で考え行動しようとする意欲が感じられ、自分が大きくなったことを実感していることがその表情からもうかがえます。
うさぎ組の子どもたちは、下高井戸子供園のうさぎ組という場を、自分の生活の場、安心して過ごせる場と感じ、そこで出会った先生や友達と過ごす中で、自分のやりたいことを見つけ遊びながら、たくさんのことを学び大きくなりました。靴の履き替え、着替えや食事などの基本的な生活習慣が身に付き、自分でできることがたくさん増えました。
くま組では、友達と一緒に遊ぶことが本当に楽しくなりました。それは、明らかにうさぎ組の友達との関わり方とは違います。おしゃべりもじょうずになり、その分ぶつかり合うこともたくさんありました。それでも友達と一緒が楽しいと感じ、また一緒に遊ぶ中で、相手の気持ちへの気付きや思いやりもたくさん感じられるようになりました。
下高井戸子供園が子どもたちにとって安心し安定した生活の場となり、その中で様々な人と関わり楽しく充実した日々を過ごし、しっかりと育つこと。これこそが子どもにとってのしあわせな姿だと考えています。幼児期ならではの、素直でのびのびとした姿がたくさん見られ、子供園にしあわせがたくさんあふれています。
杉並区教育ビジョン2022「みんなのしあわせを創る杉並の教育」は、子どもも大人もみんなが教育の担い手となり、互いに学び合い、伝え合い、教え合い、みんなでしあわせになることだと考えています。
しあわせを実感することなく、しあわせを創ることはできません。子供園で感じたしあわせを、自分でそしてみんなで創ることができる人になってほしいと願っています。
2月 昨日よりも成長した“今日の子どもの姿”に目を向ける 副園長 原 麻弓
年末から年始にかけて、読み残していた本の続きを読みました。
『オフ・ザ・フィールドの子育て』という本です。この著者は、
日本ラグビーフットボール協会理事である中竹竜二氏です。
中竹氏は<はじめに>の中でラグビーというスポーツを次のように述べています。
ラグビーではポジションごとに求められる役割が異なるため、どこか一つ得意なところがあれば、足が遅かろうが、体が小さかろうが、パスが苦手だろうが、活躍できる場がちゃんとあり、それが独自の多様性を生み出しています。自分の得意な面を最大限活かしてチームに貢献し、逆に自分の不得意な面は仲間が全力でフォローする━これこそがラグビーの大きな魅力であり、多様性の原点なのです。
子供園で過ごす子どもたちも園や学級の中でこうであってほしい、こうであれるように学級経営、園経営を進めていきたいと感じました。
また中竹氏は、<人を育てるための第一歩>の節の中で次のように述べています。
人はつい、自分を他者と比べがちです。(中略)成長を知るには、他人ではなく、あくまでも自分の過去と現在に物差しを当てて測るしかないのです。(中略)それができるコーチは、選手に対してもその選手の過去と現在を比べることができます。(中略)これを「わが子」に置き換えると、他人の子どもの点数と比べても意味がないということ。まわりの子がどれだけ運動ができようが、わが子にできなかった逆上がりが今日できるようになったことのほうが大事で、他の子の点数と比べて一喜一憂することより、ずっと価値があるのです。
本の中の言葉を借りれば、昨日よりも成長した“今日の子どもの姿”にこそ、目を向け、声をかけ、寄り添っていかなければいけないと改めて感じました。そうすることで、その子が、その子らしく、その子のペースで育っていこうとする力を支えることができます。
学級の子どもたちは一律には育ちません。下高井戸子供園では、子どもたち同士も、教師も、そのことを受け止め、受け入れ合いながら学級をつくってきています。
今年度もあと二か月。子どもたちの自ら育ちたい気持ちを存分に受け止めてまいります。