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令和2年度 園長挨拶
3月 子どものペースに合わせて
園長 石床 美穂子
今年度は、緊急事態宣言が発出され、4,5月は休園となり、6月から子供園が始まりました。子どもたちの心模様はどうなのか、安全な集団生活を送ることはできるのかなど、様々な不安を感じました。長い自粛生活に、子どもたちも不安になったり、戸惑ったりしていたに違いありません。けれども、園が再開すると子どもたちは今までと変わらず、園のあちこちで楽しいことを見付けて遊び始めました。子どもの声が響き、笑顔があふれ、子供園に活気が戻りました。その時に、子どもは自ら楽しみを生み出す力を持っていることを改めて感じました。
1月の園だよりで、人生100年時代について書きました。その中で、学ぶというのは、何かを教えてもらい知識を増やすことではなく、新しいものを創ること、探究し発見してわくわくすることであるとお伝えしました。では、大人は、子どもがわくわく学ぶためにどのように関わっていくとよいのでしょうか。
子どもたちは、遊びの中で様々なことを学んでいます。そこで、大切なことは、まずは何でも自分なりにやらせてみるということです。子どもが、「何だろう」「面白そうだ」「やってみよう」と始めたことを「後から追うように」支えていくのです。子どもの様子を見ていて、必要であれば声をかけたり、一緒に考えたりもしますが、まずは、じっくりと子どもの姿を見て何をしているのか、楽しんでいるのか、どのような心もちなのかを理解することから始まります。そして、園では遊びが充実するために、保育者は、発達に応じた環境(遊具・用具)を提示したり、子どもとじっくりと対話したりし、考えたことを実現できるように援助します。また、人との関わりのつなぎ手となることもあります。
大人が、何かをさせよう、できるようにしようとすると、指示を出したり教え込んだりしてしまい、子どもが自ら見つけた楽しさが、無くなってしまいます。子どもが、自分の考えをもち、行動できるように支えていくことが、わくわく学ぶことにつながっていくのです。ご家庭で時として、子どものペースを待てずに先回りしてつい言ってしまったり、できるようにさせることに力が入ってしまったりすることがあるかと思います。子どもたちは、幼児であっても自分なりに思いや考えをもっています。どうか、よく見て、話をよく聞いてあげてください。根気がいりますが、子どものことを信じて、子どもの姿を面白がりながら、ゆったりと関わってあげてください。
子供園に春が近づいてきています。らっこ組はぺんぎん組に、ぺんぎん組は一番大きいいるか組に、そして、いるか組は一年生に・・・大きくなっていくことを子どもたちは楽しみにしています。園庭で、夢中になって遊んでいる子どもたちを見ていた時に、次の言葉を思い出しました。
『子どもたちの顔は みんな明るく輝いている。
外からの光ではなく、内からの光である。
天の太陽は 雲につつまれる日があっても、
ここの小さな太陽たちは、いつだって好天気だ。
(倉橋 惣三 六月より)』
子どもたちの笑顔に元気をもらった一年でした。3月も笑顔いっぱいの日々にしていきます。
2月 遊びは学び〜コマ遊びの姿から〜
副園長 大塚 玲華
3学期が始まり、子どもたちは、寒さに負けず毎日元気に遊んでいます。
年長いるか組は、昨年末にサンタクロースからもらった投げゴマに繰り返し挑戦し、遊んでいます。投げゴマを回せるようになりたい、と子どもたちは取り組み遊んでいるのですが、「回せるようになる」までの過程に実は様々な学びがあります。
投げゴマは、紐を丁寧に巻くこと、コマと紐を持ってシュッと投げること、この2つの難しさがあります。簡単には回りません。子どもたちは「くやしいな」「でも頑張ろう」「やった!少し回った!」という様々な気持ちを経験します。「どうしたら回るのかな」「投げ方に気を付けてみよう」「紐が綺麗に巻けていないと回らないみたいだ」など、よく考え、気付き、再び挑戦しようとします。
また、友達同士で「回せるようになってきたね。すごい!」と認めたり、「こういう風に膝を曲げて速く(勢いよく)投げるといいんだよ」とコツを知らせたりする姿も見られます。上手くできなくて悔しくて泣いている友達には「僕もそうだったよ。でもできなくても大丈夫。次また頑張ればいいんだよ」「頑張れ!」と励ましたりもします。もちろん指先を使いながら紐を持ち、指を滑らせて紐を巻く、紐とコマを一緒に持ってコマだけを投げる、という技術面の育ちも経験します。
このように、コマ回し一つ取っても、様々な気持ちの経験、葛藤、よく考え自分なりに取り組もうとすること、仲間の良さに気付いて認めたり支え合ったりすること、思いを言葉で表現し伝えること、体の動きの経験、達成感を味わうなど、様々なことを学んでいます。
毎日子どもたちが行っている遊び全てにも、同様に様々な学びがあります。遊ぶことで、子どもたちは知識や思考力など知的なことだけではなく、社会性や感情的なこと(粘り強く取り組んだり、他者と恊働したり、思い通りにならないことがあっても感情を整えて気持ちを立て直したりする力)を学び、育ちます。特に、後者の社会性や感情の育ちは、主体的な遊びの中でこそ育つものです。そして、この力は、「○○ができる」「○○を知っている」というような、「形」として目に見えず、数値化しにくい分野の能力です。
この見えない力(非認知能力)を幼児期に育てておくことが、とても重要なのです。なぜならば、この力は、これから先、学校や社会で自ら学び続けていくことや、他の人たちと協同して課題に取り組むことの土台になるからです。土台がしっかりとあってこそ、その先の力が積み上がっていきます。意欲をもって取り組んだり、好きなものに夢中になったり、人と関わったりする力は、大人になっても役立ちます。
今年度も残り2ヶ月です。これからも、子どもたちがたくさん遊び、充実した毎日の中で学び、育つことができるようにします。
1月 遊びの中で、わくわくをいっぱいの三学期に
園長 石床 美穂子
新年あけまして おめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。
年が明けても東京都のコロナウイルス感染拡大は衰える気配がありません。1学期・2学期と定着してきた新しい生活様式を継続し、感染症対策をしっかりととっていきます。そして、3学期も保育の内容や方法を工夫し、子どもたちにとって楽しい子供園となるように努めてまいります。
昨年末、東京大学大学院教育学研究科の牧野篤教授のお話を聞く機会がありました。
これからは、人生100年時代と言われている。100年学び続けるための基礎的な力を就学前から後期中等(高等学校)までの15年間をかけて学校で養い、生涯学び続ける基礎を作っていくことが必要であるとおっしゃっていました。
学ぶというのは、何かを教えてもらい知識を増やすということではなく、人とやりとりをしながら新しいものを創ることであり、その過程で楽しい・嬉しいを感じることが大切だそうです。つまり学びはわくわくすることなのです。そして、学んだ知識を自分だけのものにするのではなく、探究して発見する喜びや驚きを仲間と一緒になって発見し、創造する嬉しさを感じることで学びが深まっていきます。
いろいろな体験を通して、感じたことを言葉やいろいろな方法で表現し伝える。そして、人とつながっていく。みんなと一緒が楽しいという姿は、子供園の子どもたちにも見られます。
いるか組(5歳児)は、2学期後半からドッジボールを始めました。ドッジボールのルールは、概ね決まっていますが、先生たちは、初めから教えることはせずに、子どもたちの様子を見守っていました。ぺんぎん組(4歳児)の時にころがしドッジボールをした経験からボールに当たったらコートの外に出ることは、子どもたちは分かっていました。
また、運動会でしたリレーの経験から2チームに分かれる時には、「そっちが多いよ。」「こっちにきて。」と声を掛け合いながら人数が同じくらいになるように調整していました。初めは外野なしでゲームをしましたが、ボールを捕る人がいないのでボールがあちこちに転がって取りに行くのに時間がかかってしまいました。すぐにボールを捕って投げられず面白くないのでゲームの始まりに外に一人いることにしようということになり外野ができました。
ゲームでは、始めのうちはボールをよけることで精一杯でした。そして、ボールが当たると「足だったから当たりにならない。」「ちょっとだから当たりじゃない。」などという声がでました。先生も聞き役になって加わり、一緒にしているみんなで話し合い「足でも、ちょっとだけでも、当たっているからだめだよね。」ということになりました。みんなで決めたから当たった子も悔しい気持ちを抑えて外にでました。
数日後に、友達の投げたボールを捕ることができた子がいて、みんなの刺激となり、ボールをよけるだけでなく、少しずつボールを捕ることにも挑戦するようになってきました。そして、子どもたちと先生で話し合い、少しずつルールが共通になっていくことで、ドッジボールが楽しくなっていくことを感じた子どもたちは、誘い合ってやるようになりました。ボールを投げたり捕ったり、よけたりしながら体を動かしてみんなで遊ぶ楽しさを味わっていました。
3学期も誘い合ってドッジボールをすることでしょう。その中で、“どうしたら勝てるか”をチームの友達と考えを出し合う姿もでてくると思います。チームの友達同士でどんな作戦を練るか、その中で、子どもたちがわくわくしながら友達と一緒にドッジボールをして、様々な力をつけていくことが楽しみです。
12月 楽しい食事
主査 島崎 かなこ
今年度、成田西子供園は「元気な子を育てる」というテーマで研究をすすめています。
そのため、保護者の方からも生活習慣アンケートを取り、結果をお知らせすると共に「げんきな子だより」を発行してきました。第1回目は「睡眠」第2回目は「朝食」をテーマに生活習慣の大切さをお伝えしてきました。
元気の源となる食事。子供園の給食が始まって一年が経ちました。「今日の給食は何だろう」と楽しみに配膳を待つ姿に給食にも慣れてきたことを感じます。
子供園の給食は毎月の献立表でお知らせしているように同じメニューが2回出るように立てられています。食べなれない食材や献立もあるかと思いますが毎日、栄養士と先生とで給食会議を行い、喫食状況を確認し次回少しでも子どもたちが食べやすいように野菜の切り方や味付けなどについて話し合いをしています。
栄養士・調理師はその話をもとに野菜を蒸して苦手な臭いを消したり、噛み応えがあるようカレーの野菜を1回目より大きめに切るなど2回目には、よりおいしく食べやすいように工夫しています。
また「給食室からのおたより」というものがあり、その日の献立を紹介するお手紙を先生たちが食前に読んでいます。その日の献立がどんな名前でどんな料理なのかを話し、興味がもてるようにしています。「このお野菜おいしいね」「パリパリしてるね」「今日の果物この前よりすっぱいね」等、子どもたちの声をうけとめ共感し、楽しい雰囲気で食事をしています。
今年度はコロナ対策として3・4歳は短時間のお子さんと長時間のお子さんと分散して食事をしています。そんな中、いるか組とぺんぎん組は10月の末に遠足に行きクラス全員が顔を合わせお弁当を食べる経験をしました。
らっこ組もお兄さんお姉さんたちが遠足に行っている間、園庭にテーブルを出し青空の下クラス全員で食事ができました。「みんなと一緒に食べるの初めてだね。」と新鮮で楽しい時間だったようです。
食事は健康的な体を作るだけでなく心や知能も育てると言われています。子供たちの楽しそうな様子から友達と一緒に楽しく食事をすることは、まさに?心と体を育てる?と食育の大切さを感じました。
ご家庭での毎日の食事はどのような様子でしょうか。
「この味つけは好きじゃないだろうな。」「この野菜は苦手だから入れないでおこう。」と好き嫌いを気にして苦手なものを避けてしまっているかもしれません。お子さんとメニューを一緒に考えながら買い物をしたり簡単な料理を一緒に作ったりすることで食に興味が広がっていきます。ご家庭でも元気の源となる食事の時間を大切にしてください。
子供園でも育てた野菜を給食に使って食べたり、栄養士に実際に使っている食材を見せてもらったりするなど今後も食に興味がもてるよう食育活動を行っていきます。「げんきな子だより」も引き続き発行していきますのでお楽しみに!
11月 コロナ禍の中での運動会
園長 石床 美穂子
今年は新型コロナウイルス感染拡大防止のため4月・5月は休園、6月は分散登園でした。全園児がそろって保育が始まったのは7月でした。その間、先生たちで子どもたちの安全についてと保育の質の保障について何回も話し合ってきました。
子どもたちの安全については、園内での感染防止のため生活様式を再考しました。子供園が再開した時に紙面にてお知らせしたように、手洗い、飛沫感染防止のマスク着用、食事の仕方、学級での集まり方、長時間保育の午睡の仕方など細かく考えていきました。保護者の皆様にもご協力いただき、また繰り返す中で、子どもたちに無理なく身に付いていきました。
保育の質の保障については、とにかく“たっぷりと遊べる子供園”であることを目標にしました。コロナ禍だからできないということではなく、その活動は子どもにとって必要なものなのか、何をねらいとするのか、ねらいを達成するにはどのようなやり方であればこの状況の中でもできるのかを先生たちみんなで考えました。
また、行事についても考え、今年度は、中止と決めたものや保護者の参加はなしで行うという形をとったものもあります。そのような中で、運動会や運動会に向けての活動の中に、子どもたちの学びがたくさんあることから、10月17日に運動会を行いました。今年度は、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、全園児ではなく学年毎に入れ替えるという形にしました。
運動会では次のようなことを大切にしました。全園児では、「伸び伸びと体を動かす楽しさや心地よさを感じる」3歳児らっこ組は、「先生と一緒に運動遊びを楽しむ」4歳児ぺんぎん組は、「先生や学級の友達と一緒に体を動かす楽しさを味わう」5歳児いるか組は「自分のめあてに向かって挑戦する、チームの仲間と力を合わせる、学級のみんなと自分たちの運動会を進めていく」です。そして、運動会を開催することで、保護者の方たちに見ていただき、「子どもたちが満足感を味わう」「保護者の方たちが子どもたちの成長を感じる」という機会にしたいと考えました。
子供園の運動会は、1学期からの遊びや生活で子どもたちが経験したことや楽しんだことがつながっています。今まで楽しんだ運動的な遊び、ごっこなど表現的な遊び、製作的な遊び、生活の中で身に付いたみんなでここちよく過ごすこと(並ぶ、待つ、順番にするなど)が、運動会の競技・リズム・旗や衣装作りの中に入っています。
今回の学年毎の運動会では、どの学年も短時間で集中してプログラムを進めることができました。テンポよく進み、待ち時間も短くなり、子どもたちは、疲れずに伸び伸びと体を動かすことができました。学年毎にしてみて、幼児にとっては、このような形が、よい面が多いのではないかという意見が先生たちから出ました。
保護者の皆様からいただいた感想にも「子どもたちがいきいきとしていた」「いろいろなプログラムに楽しそうに参加していた」「子どもの成長を感じた」という声があり、今までの経験から育った子どもたちの姿を見ていただけたことを嬉しく思いました。また、学年毎の開催については、「我が子をじっくりとみることができてよかった」「全園児でなく淋しい雰囲気かと予想していたが、充実していた」など、大部分の方が、今回のやり方にもよさがあると感じられたようでした。
初めての試みに、不備もあったと思いますが、保護者の皆様のご理解、子どもたちへの温かい応援に感謝申し上げます。体育館に響いたたくさんの拍手は、子どもたちの心に届き、満足感や達成感につながったと思います。
全園児で行わないことで、子どもたちの異年齢の関わりが少なくなるのではといったことについては、運動会の前後で他学年のプログラムを見せ合ったり一緒に踊ったりすることで、今までのような関わりが見られています。(詳しくは、今月号の園だより“10月の子どもたち”のページをご覧ください。)
今年度は、新型コロナウイルス感染拡大防止のため様々な行事を見直さなければなりませんが、“子どもたちに豊かな経験を”ということを大切にし、たっぷり遊び、保育を充実させてまいります。
10月 日々の遊びを生かす運動会
副園長 大塚 玲華
ようやく秋らしく、体を動かすのに気持ちのよい日が多くなってきました。子どもたちは、毎日元気に体を動かして遊んでいます。
10月は運動会という大きな行事があります。「運動会」というと、その行事に向かって、毎日練習の時間があって取り組んで…というイメージをもつ方もいるかもしれません。
子供園の運動会は違います。毎日元気に運動遊びをする中で、子どもたちは「こんな遊びもあるんだ」と発見したり「体を動かすことは楽しいな」ということを感じたりして、少しずつ色々なことができるようになっていきます。1学期からの積み重ねを大切にし、毎日の遊びや生活が無理なく、自然につながっていく「運動会」になるようにしています。
らっこ組は、毎日遊びの中で先生と様々な曲を踊ったり、保育室の縁側の隣に用意したトランポリンを跳んだりしています。また、先生と一緒に園庭を走ることも楽しんでいます。“先生と一緒に”様々な体を動かす遊びをすることが大好きです。毎日楽しんでいる踊ったり走ったりすることを運動会にも取り入れていきます。子どもたちは「運動会」というよりは、いつも先生としている体を動かす遊びを当日も楽しんでいきます。
ぺんぎん組は、一本橋や滑り台などの巧技台、かけっこや鬼ごっこなどで走ったりすること、ダンゴムシなどになりきって動いたりすることを楽しんでいます。“先生と一緒に”、そして“クラスの友達が周りにいる雰囲気を感じながら”体を動かすことが大好きです。楽しんでいる巧技台やかけっこ、何かになって踊ったりすることを運動会にも取り入れていきます。子どもたちは「運動会」という言葉を知りますが、当日だけが「運動会」なのではなく、毎日楽しんでいる体を動かす遊び全てが「運動会」だという感覚でいます。当日も「毎日が運動会」の一つとして楽しんでいきます。
いるか組は、今までの経験から「運動会」というものがどういうものかを知っています。でも「この日に運動会があるから、この競技をやるよ。練習しよう。」と先生が言って始めるという取り組み方はしません。まず「いるか組は運動会をするか」「するとしたら、どんなことをしたいか」をクラスの子どもたちで相談しました。昨年の年長児の姿から憧れているリレー、毎日自分たちが楽しんでいる踊りや、少しずつ挑戦してできるようになってきたり、これからできるようになりたいと思っていたりする鉄棒や縄跳び等を「運動会でやろう」と“クラスの友達と”考え、決めていきました。「先生、今日もリレーやろう!」「大縄跳びやりたい。」と遊びの中でも繰り返し行っています。運動会があるから練習するというよりは、「楽しいから何回もしたい!」「できるようになりたい!」という気持ちで取り組んでいるようです。
学年によって、運動会の認識や、“先生と”“先生や友達と”“クラスの友達と”と楽しみ方や取り組み方は違いますが、どの学年も「楽しいからやってみたい!」と繰り返し自分から取り組めるようにしているのは同じです。誰かが決めたことを「やりなさい」と言われてするのではなく、「自分がしたいから、楽しいから何回もしたい!」と思ってすることがとても大切です。なぜなら、そのことが自分の力を十分に発揮することや、充実感や満足感を味わうことにつながるからです。
園生活の中で、楽しみながら心も体も育ってきた子どもたちの姿を、運動会で、ぜひご覧ください。
9月 主体的な遊びや生活の中で育つもの
園長 石床 美穂子
今年は、例年と違い、短い夏休みで、8月24日から2学期が始まりました。コロナウイルス感染拡大の不安もあり、いつものような夏ではなかったかもしれませが、ご家庭で少しでも夏を楽しむことができたでしょうか。
夏休みというと、あることを思い出します。その時、私は年長組の担任で、子どもたちとウサギを飼っていました。子どもたちも、とても可愛がってゲージをきれいに掃除したり、餌をやったり毎日世話をしていました。1学期の終業式の日のことです。まだ幼稚園の時でしたので、「明日からみんな、40日お休みです。」と話しをすると、その日の当番の子たちが、早速ゲージの掃除を始めました。しばらくして「石床先生!」と呼ぶ声がしたので、ゲージのあるテラスに行くと、きれいに掃除されたゲージいっぱいに山盛りの餌が入っていました。びっくりしている私に向かって子どもたちは、「40日分!これで、うさちゃんも大丈夫!!」と自信満々に言いました。子どもたちの優しさと頼もしさに感心し、「さすが!これで、うさちゃんも元気に過ごせるね。」という私の言葉に満足そうに笑う子どもたちの姿は、今でも印象深く心に残っています。
教育においては、いつも子どもが主体です。子どもたちは、遊びや生活の中で、様々なことを考えています。人がものを考える時には、二つの力が必要です。一つは、言葉や倫理、基本的な計算能力などの認知的スキルです。言葉と倫理は、人がものを考える時のベースになるので、経験や日常生活の中で、きちんと育てていく必要があります。
もう一つの、非認知的スキルも同じように大切です。非認知的スキルとは、思いやりや協調性、集中力や直観力、粘り強さ、楽天性、失敗から学ぶ力、分からない時には人に聞ける社会的な能力などです。認知的スキルの言葉や倫理の力は、非認知的スキルの感性や社会性、創造性、対人間関係能力や自制心、あきらめない心といった基礎力の上に花を咲かせるのです、幼児教育で、伸ばさなければいけない力は、非認知的スキルであるといわれています。
子供園での子どもたちは、「面白そう」「不思議だな」「やってみたい」と心を動かし、遊びの中で自分のしたいことを実現させるために進んでいきます。時には、上手くいかないもどかしさを感じたり、友達とぶつかったりします。でも、心が動いたことに向かって興味・関心をもち、その子なりに試したり工夫したりしながらやり遂げようとしていきます。
そこには、一緒に考えたり、一緒に過ごす心地よさを感じられたりする先生や友達の存在があります。先生たちは、意図的・計画的に環境を用意しますが、子ども自身が考えたり工夫したりする機会を大切にし、子どもの発想に添いながら、つぶやいたり見守ったりしながら支えていきます。
簡単なことではありませんが、子どもたち一人一人が、主体的に遊びに取り組み、やり遂げた満足感や達成感を味わえるためには、とても必要な援助です。この、自分でやる、自分で考えるという体験が一人一人の子どもたちの学びとなり、様々な力を育み、生きる力の基礎となります。
いよいよ2学期が始まります。コロナウイルス感染拡大防止の対策をとりながらも、子どもたちが、元気に遊びに取り組み、よく考え、先生や友達との関わりを楽しみながら充実した毎日が送れるようにしていきます。そして、体験を通して様々な力を付けられるようにします。2学期も、どうぞ、よろしくお願いいたします。
8月 楽しい一歩を踏み出せた1学期
主査 島崎 かなこ
今年度は6月1日に入園式・始業式を行い終業式まで2か月という、いつもより短い1学期となりなした。
6月は分散登園。ロッカーに貼ってあるマークを見て「この子だれ?」「まだ会ったことがない」と口にする子もいました。そして7月に入りやっと全員そろっての生活が始まりました。コロナ感染拡大防止の配慮をしながらマスクをしたり距離を置いて椅子に座って遊んだりと今までと違う生活様式の中でも子どもたちは先生や友達と伸び伸びと園生活を楽しんでいました。
らっこ組は分散登園中に少人数で先生とゆったりと、安心して過ごす時間を多くもつことができました。パズルやままごと・お絵かきに汽車遊び、お庭では砂遊び・泥んこ遊びに虫探しと一人一人がやりたいことを見つけていました。
7月に入り全員登園になると、周りの子に目を向け刺激を受けると初めての遊びに挑戦してみたり、同じことに興味をもった子と虫探しや水遊び、追いかけっこをしたりと一日一日、興味が広がり一歩一歩成長しています。
ぺんぎん組は全員登園1か月とは思えないほど進級児と新入園児が一緒に交わり遊んでいます。
6月から毎日夢中になって探したダンゴムシやクラスで飼育しているカブトムシになりきり、お面を作り、家(巣)を作っては転がってみたり、木に見立てた壁にくっつき木登りをしたりイメージを膨らませ毎日遊びが続きます。
4歳児は友達と一緒に遊ぶことが増えると自分の思いが通らない、お友達の思いを受け止めきれないという経験が 増えてきます。そんな時、先生が仲立ちとなることで自分の思いが伝わった、友達の思いも少し分かったと感じられるようになり始めていることを子どもたちの笑顔から知ることができます。
いるか組は7月に入り「お休み調べ」が始まりました。各クラスの出欠が書かれた「お休み調べ」の紙を職員室へ持ってくるという年長組として任された仕事です。例年ですと2人ペアで行いますが今年は密を避けるため一人でやっています。少し緊張しながらも凛とした表情で職員室に来る姿に頼もしさを感じます。自分の名前、日にち、天気人数などを園長先生と一緒に毎朝確認します。その後遊んでいて、曇り空に青い空が見え始めると「先生!天気変わったよ」と知らせに来てくれる子もいて任されたことを頑張ろうという意欲が感じられます。
遊びでは友達と「どうしたらうまくできるかな」「楽しくなるかな」と考えて遊んだり、汗びっしょりになりながら真剣な表情でエンドレスリレーを楽しんだりしています。よく考え、友達と遊びを広げ、たくさん体を動かし、 頭と心と体をフル回転させています。
どの子も心と体を弾ませ先生や友達と過ごす楽しさを感じながら、はじめの一歩を踏み出せた1学期でした。 遊びの中でたくさん学んだこの一歩を充実した2学期へと繋げていきたいと考えています。
今年は夏休みも短く8月24日から2学期が始まります。引き続きコロナウィルス対策のご協力をいただきながらの 生活が続きますが子どもたちが元気に楽しく毎日が過ごせるよう職員一同努力してまいります。ご理解のほどよろしくお願いいたします。
7月 げんきな子を育てる
副園長 大塚 玲華
子供園が再開し、園庭や保育室では、毎日元気に遊ぶ子どもたちの声が聞かれるようになりました。お家ごっこやお店屋さん、製作、虫探し、砂場での料理作り、山や川作り、色水遊びや、水遊び、大縄跳び、鬼遊びなど、本当に様々な遊びが行われています。
一つ一つの遊びをじっと見てみると、どの遊びでも、子どもたちが「楽しい」「面白い」「どうしたらいいかな」「不思議だな」など、心や頭を使って遊ぶとともに、体も色々に動かしながら遊んでいることに気付きます。
先日、年長いるか組の子どもたちが、4〜5人の友達で声をかけあい、大きなシャベルを使って砂場に穴を掘り始めました。大きく深い穴ができ上がると、水道管をつなげたものを穴に繋がるように置き、今度は何度も試したりしながら、水道管に水を流して、掘った穴に水を溜める、という遊びをしていました。この遊び一つだけでも、全身を使って砂を「掘る」、水をバケツで「汲む」、バケツを「運ぶ」、バケツの水がこぼれないようにそっと「歩く」、水道管に高低差をつけるために、台となるビールケースを「積む」「持ち上げる」、水が流れる様子を見るために「しゃがむ」「かがむ」など、多様な体の動きが見られました。
幼児期は、体の諸機能の調整力が最も大きく伸びるため、運動全般の基本的な動きを身に付けやすい時期です。幼児期に体を動かす「遊び」をすることで、多様な動きの獲得や、体力・運動能力の基礎を培うとともに、様々な活動への意欲や、社会性、創造性等を育むことができると言われています。これらは、生涯にわたって健康を維持し、積極的に様々な活動に取り組み、 豊かな人生を送るための基盤づくりになります。 特定のスポーツをしたり、誰かに言われて、動くことだけに特化して体を動かしたりするのではなく、「様々な遊び」の中で、「自分から」体を動かしていくことが大切だそうです。
今年度、子供園では、園庭での遊びに着目し、一人一人が様々な遊びを通して多様な動きを経験できるようにしたいと考えています。そのために、保育者で話し合いを重ね、でこぼこ道を作ってバランスを取りながら歩くことができるようにしたり、ゴーヤや朝顔のグリーンカーテンの隠れ家を作り、その中で寝転がったり、しゃがんだりすることができるようにしたりと、試行錯誤しながら園庭の環境や保育者の関わり方を工夫しているところです。また、先の砂場の遊びのように、子どもたちがどのような動きをしているか、逆に足りていない動きは何かを調べ、さらに園庭の環境を見直していこうと考えています。
この取り組みは、<研究主題>「げんきな子を育てる〜心と体を弾ませて遊び、多様な動きを経験するための環境と援助〜」とし、併設の杉並区立就学前教育支援センターとの協働研究として進めていきます。
子どもが「やってみたい」「楽しい」と心も体も弾ませて自分から遊ぶ中で、多様な動きを経験し、「げんきな子」に育つようにしていきます。
6月 ゆっくり、よりそって
園長 石床美穂子
子供園が臨時休園してから、2か月ほど経ちました。これまで、新型コロナウイルス感染症の拡大防止に、ご協力いただきまして、ありがとうございました。小さい子どもがいるご家庭で、育児や仕事をしながらの毎日は、簡単なことではなかったと思います。皆様が「家で過ごすこと」を頑張ってくださったことで、6月1日より園を再開することができました。
子供園の再開に伴い、感染予防に向けて、園生活の様々な場面での過ごし方について、先生方と考えました。幼児の発達の特性や遊びの姿により「3密」を避けることに難しさはありますが、環境の設定や保育者の関わりを工夫し対応していきます。また、子どもたちにも「いのちをまもるため」の感染予防の大切さを分かりやすく伝え、新しい生活の仕方の習慣が身に付くようにしていきます。そして、子どもたちが、安全安心の中で、楽しい園生活を送れることを第一に考えていきます。
園が再開しましたが、集団生活をするということは、感染拡大のリスクは高いということを考慮し、6月2日からは分散登園の形をとります。安心した園生活となるために、引き続き自粛のご協力もよろしくお願いいたします。
休園中に、電話で「声のふれあい」をさせていただきました。顔が見えない中、恥ずかしさや戸惑いもありながら、子どもたちは、自分のことを一生懸命話してくれました。担任の先生が、笑顔で子どもたちと話している様子を横で見ているとほほえましくて、私も笑顔になりました。子どもたちの声に私たちの方が元気づけられました。また、保護者の皆様から「先生方も気を付けて。」「頑張ってください。」と気遣いや励ましの言葉をいただき、温かい気持ちになりました。子どもたちや保護者の皆様とつながっている心強さを感じることができました。ありがとうございました。
休園期間中に子どもたちは、どのように過ごしていたのでしょう。そして、楽しい・うれしい・さみしい・悲しい等の気持ちをどんな時に感じ、表していたのでしょう。子供園が始まった今、休園中の時間のことも考慮しながら、一人一人の子どもたちによりそい、ゆっくりと育ちを見守っていきたいと思っています。おしゃべりをしたり、遊びながら楽しいことを共有したり、嬉しい気持ちに共感したり・・・安心安定を第一に過ごしていきます。ご心配なことがありましたら、声をかけてください。「楽しい子供園」となるよう職員一同、力を尽くしていきます。
4月 一人一人が自分らしさを発揮して
園長 石床 美穂子
新入園児の保護者の皆様、お子さまのご入園おめでとうございます。
進級児の保護者の皆様、ご進級おめでとうございます。心よりお祝い申し上げます。
この3月、35名の園児を送り出しました。そして、令和2年4月。らっこ組21名、ぺんぎん組は、8名を加え31名、いるか組32名、全園児84名で新しい1年がスタートします。一人一人の子どもたちの成長が楽しみです。
今年度は、昇任副園長の大塚玲華先生を始め、教職員一同力を合わせて、今年度も子どもたちの健やかな成長のために、保護者の皆様や地域の方々と連携し、子どもたちの育ちを支え、見守っていきたいと考えています。
子供園で、子どもたち一人一人が自分らしさを発揮し、豊かな経験ができるように、教職員一同、力を尽くして教育の充実に努めてまいります。保護者の皆様、地域の皆様のご理解とご協力をよろしくお願いいたします。
令和2年度の教育目標は、次の通りです。
心身共に健康で、自ら考え主体的に遊びや生活に取り組むことができる幼児の育成を目指し次の目標を設定します。
◎げんきな子
○かんがえる子
○自分も人も好きな子
上記の教育目標をふまえ、子どもたちが、幼児期にふさわしい生活の中で、主体的に遊び、健やかな心と体を育みます。また、遊びや生活の場面で、自分のしたいことを実現させていくためによく考えて取り組み、充実感を味わえるようにします。そして、身近な人と、関わる中で、様々な感情体験を通して、「自分も人も好き」という気持ちがもてるようにし、思いやりの気持ちを育みます。
昨年10月に新園舎に移転し、初めての新年度です。就学前教育支援センターとの併設であることを生かし、就学前の教育の充実を図れるよう、連携・協働してまいります。