令和3年度 園だより

11月 一人一人が自信をつけた運動会 主査  島崎 かなこ

今年も昨年に引き続きコロナ禍での運動会となりました。感染対策をしながらの開催は観に来ていただける方の人数にも限りがありました。それでも子どもたちは家族の人が観に来てくれるんだと、張り切っていました。
 のびのびと体を動かす心地よさや楽しさを感じる。その中で一人一人が自分の力を出す。友達と一緒に動く楽しさを知る。さらに、いるか組は意欲をもって取り組み満足感を味わう。目的に向かって力を合わせやり遂げた達成感を味わうことをねらいに運動会に向け取り組んできました。 
らっこ組とぺんぎん組は、4月から取り組んできた様々な活動の中から「楽しい」「挑戦してみたい」   「もっとやりたい」という思いを大切にし競技に取り入れ取り組んできました。身に着ける衣装やお面は自分で作りイメージを膨らませました。普段遊んでいる園庭やホールではない小学校でのリハーサルや他学年に見てもらう見せ合う日の緊張や戸惑いも自分の力にしていました。
いるか組は、リズムでは「どうやったら上手く踊れるかな」リレーや宝とりでは「勝つためには何をすればいいかな」「どうしたら勝てるかな」と体だけでなく仲間と相談し頭も使い目的に向かって力を合わせ頑張ってきました。悔しくて涙を流すことも何度もありました。あまりの悔しさに泣き声が職員室まで聞こえてくる程でした。その涙が決して無駄になることはなかったことを保護者の方々にも運動会をご覧いただき感じていただけたと思います。 
 運動会はこの行事を目標とする特別なものではなく、保護者の方に子どもたちの成長を感じていただく一つの場と考えています。しかし終わってみると、まるで大きな目標を成し遂げたかのような子どもたちの  成長と達成感、自信に満ちた姿が見られました。保護者の方々にも心も体も大きく成長し自信を付けた   子どもたちの姿を感じていただけたと、頂いた感想から伝わり共感できたことを嬉しく思いました。

運動会後、子どもたちは他学年の競技の音楽をかけ体を動かし楽しんでいました。(他学年のプログラムは運動会前に見合いました。)らっこ組やぺんぎん組はいるか組の姿に憧れ、旗(フラッグ)やポンポン、クラゲの衣装を作り踊る姿がありました。自分たちもいるか組のようにやってみたい、早く走れるようになりたい、またいるか組は小さい子に踊りを教えてあげたりリレーのルールを教えてあげ一緒に走ったりし、さらに階段を一段登ろうとしています。
 今後も一段一段階段を登ろうとする子どもたちの姿に寄り添い、様々な体験を通し自信をもち、成長していけるよう充実した保育を目指していきます。

10月 遊びの中で体を動かす     副園長  大塚 玲華

先日、井村隊長が子供園に来てくれました。「井村隊長」とは、体づくりキャラバンの井村浩昭氏のことで、子どもたちは「井村隊長!」と呼んでいます。毎月子どもたちに「体づくり運動」として、様々な運動遊びを教えてくださいます。
 子どもたちはもちろん、私たち保育者も幼児の体の動かし方、鉄棒や縄跳びなど、様々な運動遊びのコツなどを教えてもらい、保育に生かしていく機会にもなっています。その中で、井村隊長から「幼児期は、一つの動き、体の一つの部分に特化してトレーニングするのではなく、遊びながら体の様々な部分を使う運動をすることが大切です。」「昔より、子どもたちの運動量は絶対的に減っています。親子で遊びながら体を動かせるといいですね。」というお話がありました。
 幼児期は、自分の思うように巧みに体を動かす「運動コントロール能力」が急激に発達する時期です。この「運動コントロール能力」を高めるためには、様々な体の部位をいろいろな方向に、いろいろなスピードやタイミングで、力の入れ方を様々に変化させて多様な運動をすること、つまり「運動の多様性」が原則であるとされています。運動を幅広く経験して、多様な運動パターンを身に付けながら、運動コントロール能力を高めることが重要なのです。実際に多くの運動パターンを経験している幼児ほど、運動能力が高いというデータがあります。
 多様な動きの体験は、大人に「この動きを経験しなさい」と指示されたり、習い事のように、何かのことに特化したりして積み重ねられるものではありません。自分から「やってみたい!」と取り組む「遊び」の中でこそ保障されるものです。そのためには、「やってみたい!」と思うことができる環境が重要になります。「環境」とは、体を動かすための様々な遊具や場所、新たな活動はもちろん、今回の井村隊長で経験した運動遊び、夏に開催されたオリンピックやパラリンピックの刺激を受けて幼児が「やってみたいな!」と思った時に、遊びの中で行うことができる環境のことです。
 園では、学級全体に助け鬼を取り入れたことをきっかけに遊びの中でも繰り返し助け鬼をしたり、オリンピックの刺激を受けて、遊びの中でサッカーボールを手作りして、様々な国のチームに分かれてサッカーごっこをしたりする姿が見られます。遊びの中で「楽しい」と自発的に取り組んだことは、繰り返し繰り返し行われ、たくさんの動きを経験することができます。大人に技術的な動きを言葉で説明されなくても、繰り返し動くことで、いろいろな動きを体得していきます。
そして、環境が用意されていることと同じくらい大切なことは、それを一緒に楽しんでくれる大人や、他の幼児の存在です。楽しそうに遊ぶモデルとして存在していることも、幼児が「楽しいな」と繰り返し体を動かすことにつながります。
 体を動かすのに気持ちの良い季節になりました。是非、親子でも体を動かして遊んでください。
 そして、10月は運動会があります。運動会も、トレーニングをして取り組むのではなく、毎日の遊びの中で多様な動きを経験したことの延長線上にある行事です。「体を動かすことって楽しい!」と感じている子どもたちの姿を運動会で是非ご覧ください!