令和4年度 園だより

1月  豊かな体験や学びのある遊びを 園長 齋藤 由美

 新年あけましておめでとうございます。2023年が始まりました。今年は兎年です。兎年は、「飛躍」や「向上」の年です。子どもたち、保護者の皆様にとって、今まで積み重ねてきた様々な経験や体験を力に、一人一人が新しいことに挑戦し、飛躍し、さらに力を発揮しながら向上していくことのできる一年になることを祈っております。
 さて、今年度成田西子供園は、園内研究のテーマを「幼児理解を深めるための保育記録を工夫し、遊びの充実を目指す」として研究に取り組んでいます。まず初めに取り組んできたのが、子どもたちの遊びの様子を写真に撮ることです。職員が各々カメラを持ち、子どもたちの遊んでいる姿から「楽しそう!」「面白そう!」「頑張っている!」「試している」「相談している」「力を合わせている」「葛藤している」など、職員が心を動かされた場面を写真に収めています。そして、取り組みの一つとして、その中の数枚を写真付き記録にし、各学級から毎日発信しています。保護者の方にその日の様子や経験していることを、分かりやすく伝えたい、保護者、子ども、保育者で共有しながら保育を充実させていきたいという思いで取り組んでいます。
 先日、園庭開放で遊んでいる保護者の方々に、この取り組みをどのように感じているかインタビューをしてみました。
「楽しかったことや遊んだことが親子で共有しやすい。」「園での様子がよく分かる。」「自分の言葉で伝えることが難しいので、写真があることで我が子の伝えたいことがより伝わりやすい。」「写真がきっかけとなり、会話が弾む。」「楽しんでいることや頑張っていることが映像をみることで伝わりやすい。」「何をしているのかが分かり教材提供などがしやすい。」など写真付きの記録を通して、園の保育の様子が見えるのは嬉しい、我が子とのコミュニケーションが増えているという声が多く聞かれました。また、一方で、「我が子が写っているときしか見ない。」「大きなタイトルは目に入るが、細かい文字での記録を読むことは難しい。」といった声も聞かれました。何をしているかは、分かるけれど、その中での一人一人の細かな心の動きや経験、何を学んでいるかなどを感じ取ることは難しいようでした。
 子どもたちの具体的な姿を通しての学びや育ちについては、学年だよりや園だよりでお伝えしていきます。子どもたちの「今」の様子をきっかけに、その中にどんな育ちがあるのか、この経験がどう今後の成長につながっていくのかなど、今まで以上に保護者の皆様に、送り迎えや保護者会、保育参加参観などを通して、言葉でもお伝えしていくことが大切であると感じています。
私たちは、日々子どもたちに、『こんな風に育ってほしい』『こんな経験をしてほしい』といったねらいをもって保育にあたっています。保育者は、この日々の写真付き記録をもとに、さらに保育全体の様子を振り返り、今日の子どもたちの遊びの取り組みはどうだったか、環境や援助は適切だったのか、明日もっと楽しくなるようどのような経験ができるか、何を準備するかなどについて考え、明日の準備を行っています。
 今年も、一人一人がワクワクドキドキしながら遊びを存分に楽しむ中で、豊かな体験や学びがたくさん得られるよう力を尽くしてまいります。そして、保護者の皆様とのコミュニケーションを大切にしながら、子どもたちの育ちや学びが伝わるようにします。
本年度もどうぞよろしくお願いいたします。 

12月 表現する楽しさ  副園長 大塚 玲華

早いもので、今年最後の月になりました。
12月には、ぺんぎん組、いるか組の「こどもかい」があります。「こどもかい」は、子どもたちが劇遊びをする行事です。「劇」というと、どのような取り組みが思い浮かぶでしょうか?あらかじめ、作られている台本があって、その台本にある動きや言葉を子どもたちが練習して覚えて、できるようにする…という取り組みを想像する方もいるかもしれません。子供園の劇は、初めから台詞や動きが決められた台本というものがありません。子どもたちが繰り返しお話の世界を楽しむ中で、子どもたちから出てきた動きや言葉が、台本になっていきます。

年中ぺんぎん組では、「おおきなかぶ」や「がらがらどん」などのお話ごっこを学級の皆でする活動や、遊びの中で楽しんでいます。お話の内容がわかると、「この動物(人)になってみたい」と自分で色々な役になりきって、思いついた動きをしてみたり、声や言葉を出したりしています。友達と一緒に動いたり、言葉のやりとりをしたりすることも楽しいようです。
年長いるか組では、今年は学級の皆で一からお話を作りました。自分がしたい役を決め、友達と考えやイメージを伝え合い、共通にしながら、動きや言葉も決めています。準備を進める中で、必要な大道具や、効果音、歌などにも気付き、作る姿も見られます。それぞれが考えた動きや言葉などを見合ったり、役ごとの場面をつなげたりしていく中で、「学級の皆で一つの劇を進めているんだ」という気持ちもより強くなっていくことでしょう。

このように、「こどもかい」という劇遊びの取り組みの中には、言葉だけではなく、動いたり、大道具を作ったり、音を鳴らしたり、歌ったり、踊ったり…と子どもから出される、様々な「表現」が含まれていることがわかります。様々に表現をすることは、豊かな感性や表現する力を養い、創造性を豊かにします。だからこそ、あらかじめ決まっている台本ではなく、子どもたちが取り組みの過程で様々な表現を経験することを大切にしているのです。
そして、この表現する楽しさを支えているのは、日々の遊びや保育者との関わりです。子どもは「面白い!」「不思議だな」「すてき!」と心を動かされる体験すると、感じたことを言葉や動きで表現したり、遊びの中で再現したりします。表現したことを保育者に受け止めてもらったり、共感してもらったりすること、ごっこ遊びで、お父さんやお母さん、動物等になって、動いたり、話したり、作ったりすることが「楽しい」「嬉しい」という経験が、こどもかいの取り組みでも、「表現したい」「楽しい」という子どもたちの意欲につながっています。

子どもたちが表現する楽しさを味わい、頭、体とともに、心も豊かに育っていってほしいと願っています。
各学年のこどもかいの取り組みは、毎日のドキュメンテーションや、手紙などをご覧ください。取り組みの過程と、当日の姿、両方を楽しみにしていただけたらと思います!