令和6年度 

12月 幼児教育から小学校教育への円滑な接続を願って  副園長 大萩 純子

 10月から年長組の子どもたちは、進学予定の小学校で就学児健診を受けており、「4月になったら1年生になる」という意識が段々と出てきています。4月から始まる小学校での生活は、広い校舎、6学年まである大勢の人数、子供園のように遊びの中で学ぶスタイルとは違う授業形態等々、園生活とは大きく異なります。そのため、子どもたちは進学時に、戸惑いを感じることがあるかもしれません。

 子供園では遊びを通して学ぶ幼児教育から教科などの学習を中心に学ぶ小学校教育へ円滑に接続し、幼児が滑らかに小学校の生活や学習に移行できるように「杉並区幼保小接続期カリキュラム・連携プログラム」に基づいて、小学校との連携・交流活動を進めています。
 本園では具体的な幼保小連携全体計画を、連携校である久我山小学校と共に毎年作成し、幼児が児童への憧れや、小学校生活への期待感をもち、安心して小学校の学習や生活に向かうようになることを願って進めています。その計画の内容には、“保育者と小学校教員の相互理解”、“幼児と児童の交流活動”、“小学校の人・もの・ことに関わる体験”、“保護者への理解啓発”があります。 
 9月には久我山小学校1年生の担任の先生を年長保護者会にお招きし、小学校生活についてのお話を伺いました。10月には、幼児教育公開を開催し、小学校の先生方が来園して、幼児教育についてや幼児期の学びをどのように小学校につなげていくか等について子供園と共有する機会をもちました。
 今回は“幼児と児童の交流活動”、“小学校の人・もの・ことに関わる体験”の実施内容についてお伝えします。

 今年度の年長組は11月に2年生の音楽会リハーサルの鑑賞、5年生とのふれあい遊び交流を体験しました。音楽会リハーサルは、久我山小学校体育館で行われました。合唱の美しい歌声、合奏では木琴や鉄琴、大太鼓、小太鼓などの楽器の大きさや胸に響くほどしっかりとした打楽器の音、そして大勢の児童が演奏するピアニカの音色に、どの子もキラキラとした瞳をして、お兄さんお姉さんの姿に見とれていました。子どもたちからは「きれいな声だね。」「かっこいいね。」の言葉も出て、小学校に入ったら自分もしてみたいな、という憧れの気持ちをもったようでした。
 5年生とのふれあい交流の日には、5年生の教室に入りました。そして大きなお兄さんお姉さんと出会うと、初めは戸惑い、表情は硬く、無口になっていましたが、ペアになった5年生が優しく手をつなぎ、教室からふれあい遊び会場の体育館まで誘導してくれるうちに、段々と表情が和らいでいきました。      
 体育館では、幼児が楽しめるようにと5年生が考えたプログラムの内容でレクレーション係が進めてくれました。初めはペアのお兄さんお姉さんと一緒に、大きな輪になって座り、ボール渡しをするゲームをしました。ボールを落とさないようにしながら次々と隣の人に渡すことや、進むうちに勢いが増していくスリル感に、子どもたちからは笑顔がこぼれていました。
 その後は、じゃんけん列車をしました。5年生とペアになり、曲が流れると一緒に動き、曲が止まった時に、その場で出会ったペアとじゃんけんをする、負けたら、最後尾につながり、どんどん列が長くなっていくという遊びです。5年生は大人ほどの背丈があるので、つながって動くには子どもたちとは歩幅や動くペースに違いがありましたが、遊びながら、お兄さんお姉さんたちが子どもたちのペースに合わせて動いてくれたり「大丈夫?」「さあ、じゃんけんしてね。」と声を掛けたりしていました。つながった子どもたちの手が外れそうになると、そっと手を支えてくれるお兄さんもいましたので、子どもたちは安心して遊び続けられました。最後の先頭同士がじゃんけんをして全員がつながり、長い電車となった時には、体育館中に歓声が上がりました。
 これらの経験の中で、子どもたちは小学校は楽しいところ、優しく関ってくれるお兄さんお姉さんがいるところと知り、子どもたちには小学校生活への安心感、期待感が高まりました。

 12月は年中組が初めて小学生と交流します。年中組が、無理なく初めての交流を楽しめるように4年生が本園に来園して実施する計画です。年中組が日頃園内で楽しんでいる遊びをしながら、小学生と関われるように内容を精選し、小学生への親しみの気持ちが芽生えるようにしていきます。

12月 年少ことり組

 急に寒くなってきましたが、元気いっぱいに他の幼児や先生と一緒に体を動かして遊んだり、園庭の落ち葉やどんぐりなどを砂場の具材に見立てて料理を作ったりすることを楽しんでいます。また場を作ることも楽しくて、同じ場や近くにいる他の幼児と簡単なやり取りをしたり、関わり合ったりしながら自分のやりたい遊びを見つけて遊ぶ楽しさを感じています。
 今月は、簡単なルールのあるゲームをしたり、表現遊びや楽器遊びをしたりして色々な経験ができるようにします。また少しずつクリスマスに向けた製作にも取り組んでいきます。
 寒くなり上着を着るようになってきたので、裏返しになった上着の袖を元に戻したり、ファスナーやボタンをしたりなども自分でできるようにしていきます。また、寒さが増す時期ですが、戸外で体を動かす遊びも引き続き楽しめるようにしていきます。

12月 年中うさぎ組

 家や車の場の中でイメージをもって動いたり、様々な教材や砂場で料理をつくったり、園庭では氷鬼やリレー、短縄など思い切り体を動かしたりして遊ぶ中で、友達に自分の思いを出しながら一緒に遊ぶ楽しさを感じています。
 今月は、自分の思いを言葉や動きで表しながら、友達とやり取りをして遊ぶ楽しさを感じられるようにしていきます。
 子ども会では、動物になりきって動きお話の流れの中で簡単なやりとりをしながら表現する楽しさをたくさん感じられるようにしていきます。また、劇遊びに必要なものを自分たちで作り、学級のみんなですすめていきます。
 友達と遊びたい思いが強くなってきた分、思いがすれ違ったり、言葉でどう伝えてよいか分からずもどかしい気持ちを感じたりと、葛藤する姿も見られるようになっています。自分の思いを出し、友達の思いに気付いていくことができるように友達との関わりを支えていきます。

12月 年長ぞう組

 子ども会に向けて仲間と一緒に劇の取り組みを進めています。大好きな絵本のお話や、みんなで行った楽しかったバス遠足で共通体験した水族館の生き物との出会いからお話作りをしました。大好きな生き物になり、友達と一緒に必要なものを作ったり、自分なりに役の気持ちを考えて表現したりしています。その中で、友達と一緒に考え合ったり、友達の良さに気付いたりする経験をしています。また、自分の登場する場面だけではなく、他の場面でも役割をもつことで自分たちの劇という意識をもって取り組んでいけるようにしています。学級の仲間と一緒に劇を作り上げていく達成感や満足感を味わえるようにしていきます。
 戸外ではドッジボールや短縄など、自分なりにめあてをもって繰り返し取り組む楽しさを感じられるようにしていきます。
 今月は、クリスマスや年の瀬などもあります。行事の意味を知り、季節ならではの遊びや製作を楽しんでいきます。また、生活に見通しをもち、自分たちで生活を進めていく気持ちが育っていくように支えていきます。