令和5年度 園だより

7月 「一人ひとりを大切にする特別支援教育」 特別支援教育コーディネーター 副園長 大塚玲華

早いもので、後一ヶ月ほどで1学期が終わります。子どもたちは、新しい環境にすっかり慣れ、笑ったり、泣いたり、怒ったり、「自分らしさ」を出しながら園生活を送るようになっています。
子どもたちは、一人ひとり顔が違うように、ままごとが好き、体を動かすことが好き、指先を細かく動かして何かを作ることが得意、逆に細かい動きをすることが苦手、言葉だけの指示で行動するのは苦手、相手の気持ちを感じることが苦手など、一人ひとりの好きなこと、得意なこと、苦手なことは違います。そしてこれらも「自分らしさ(その子らしさ)」です。
好きなこと、得意なこと、苦手なこと全部含めて「その子らしさ」なのに、時として、その子の苦手とする部分の姿を「なぜこういう姿なのだろう」と「困った」「心配」と感じることはないでしょうか。でも本当に困り感を感じているのは、大人ではなく、その子自身なのです。子供園では、その苦手なこと(困り感)に応じて、特別支援教育コーディネーターを中心に大人の関わり方や環境の工夫を適宜考え、教育保育の中で行なっています。これは発達障害と言われるような子どもだけが、特別に行われるものではありません。先程、どの子にも得意なこと、苦手なことがあるとお話したように、子供園の「特別支援教育」とは、どの子に対しても行われるものです。
先日、「幼児期の特別支援教育」についての研修会に参加しました。
子どもに見られる姿には「子どもが生まれながらに持つもの(その子の得意なこと・苦手なことどちらも)」「子どもが学習してきたもの(何を学んできたのか、まだ学んでいないのか、何を誤って学習したのか)」「現在の環境」の3つの背景が関係している。「なぜこういう姿が見られるのだろう」の「なぜ」を知るためには、この3つの背景を推測すること、その上で、子どもの困り感(苦手とすること)を減らす手立てを考えることが必要。ただ、生まれながらに持ったものは変えることができない。新たなことを学んだり、誤って学んだことを修正したりすること、現在の環境を変えることはできる、というお話が研修でありました。
新たなことを学んだり、誤って学んだことを修正したりするということは、どういうことでしょう。例えば、「友達の髪の毛を引っ張ったら「いや!」と反応してくれた→反応してくれたから嬉しい→関わって欲しい時は髪の毛を引っ張ろう!」これは、誤って学んでしまったことです。友達と関わりたい時は、どのようにすれば、自分も友達も嬉しい関わり方になるのか、正しく学びなおすことができる大人の関わりが必要になってきます。
環境を変えるとはどういうことでしょう。例えば、今子供園ではプール指導が始まっています。水遊びをするためには水着に着替える必要があります。どういう手順で服を脱ぎ、脱いだ服はどうすればいいか、水着はどういう手順で着るか…言葉で知らせるだけではなく、各学年、発達や、一人ひとりの姿に応じた視覚的な教材も使用しています。言葉での理解が得意な子も、逆に視覚的な理解が得意な子も、みんな自分でわかって行動し、「できた!」という気持ちをもつことにつながっています。
このように、子どもが感じている困り感は、子どもが生まれ持ったものを変えようとすることではなく、大人側の適切な子どもの姿の読み取りや理解に基づく関わり方や環境の工夫によって、減らすことができると言えます。
子供園の特別支援教育は、「どの子に対しても」行われるもの。どの子も自分らしさを出しながら、自分で「わかった!」「やってみよう!」「できた!」を積み重ね、育つことを大切にしています。そして、子どもたちがお互いの得意なこと、苦手なことを理解して、「その子らしさ」を丸ごと受け入れることができる育ちも大切にしています。

6月 「子育ての喜びを共有する」   園長 齋藤 由美

新型コロナウィルス感染症が5月8日より5類に移行となりました。登園時に、子どもも大人も表情を見ながら挨拶できるようになり、晴れやかな気持ちで一日が始まります。
子供園では、給食時の衝立が取れて、子どもたちが互いに顔を見ながら食事ができるようになりました。また、職員も一緒に食事をするようになり、給食の時間が楽しい時間になってきています。
年長いるか組の保育室に、水族館やお寿司屋さんができたり、ホールに乗り物ができたりすると、ぺんぎん組やらっこ組の年下の子どもたちがお客さんになって、遊びに行くようになりました。日常の遊びの中でも、異年齢の関わりが増えてきています。年長にとっては、遊びに来たお客さんと関わることで、自分たちのしていることが認められる喜びを感じています。ぺんぎん組やらっこ組の子どもたちも、自分たちではできない楽しい遊びに触れることができ、刺激を受けているようです。

さて、4月末から5月にかけては、各学年で「親子で遊ぼう」を行いました。大勢のご参加をありがとうございました。子どもたちにとっては、日頃自分たちが生活している子供園で、お家の方と一緒に楽しく遊ぶ機会となるように、そして、保護者の方には、園でのお子さんの様子を知ったり、お子さんと一緒に遊ぶ楽しさを感じたりしてほしい。また、保護者同士顔を合わせて話ができる親睦の機会となるようにと計画をしました。
年少らっこ組、年中ぺんぎん組では、親子でたっぷり触れ合い遊びや体操などを楽しみ、お家の方とのスキンシップに笑顔いっぱいの子どもたちはとても嬉しそうでした。また、おうちの方と日頃園で遊んでいる遊びに一緒に取り組む時間には、親子で楽しい時間を過ごすだけでなく、保護者同士自己紹介やおしゃべりを楽しむ姿も見られました。
年長いるか組は、全員の親子が握手できるリズム遊びをしたり、お家の方VS子どもチームでカードめくりのゲームをしたりしました。カードめくりゲームは、片面が赤、反対側が青のカードを、スタートの合図で自分のチームの色に返していきます。終わりの合図がなったときに枚数の多かった方が勝ちというゲームです。保護者の方も本気でめくっていましたが、子どもたちは周りを見ながら次から次へと素早くめくっていき、子どもたちが全勝しました。勝った子どもたちは、跳び上がって喜んでいました。
後日いただいたアンケートでは、「親子で夢中になって遊ぶことができ楽しかった」「子どもたちの園での様子を見ることができてよかった」「子どもの成長を見ることができた」「保護者の方とお話する機会がもててよかった」といった感想をいただきました。とてもあたたかな気持ちになれる一日でした。ありがとうございました。
今年度も、保育参加参観に加え、保育ボランティアを通して、保護者の方に保育者として保育に参加していただき、我が子以外の大勢の子どもたちと触れ合うことで、子どもたちの実態や成長、学んでいることに触れる機会、園の教育について知っていただく機会をつくっていきたいと思っています。絵本の読み聞かせや鬼遊び、釘打ち、園芸などを計画しています。他にもお家の方の得意なことなどありましたら是非お知らせください。
保護者のみなさんと共に、子どもたちの成長を見守り、子育ての喜びを共有していきましょう。