令和6年度 園だより

6月 アタッチメント(愛着形成)  園長 齋藤 由美

らっこ組の子どもたちは、入園してから2カ月が経ちました。お家の方から離れるのが不安でいっぱいだった子どもたちも、担任の姿を見つけると笑顔で先生に向かって一直線に走っていくようになりました。子供園の生活に少しずつ慣れてきて、“この先生が自分の先生”“困ったとき、さみしいときに受け止めてくれる先生”“楽しいことをしてくれる先生”という安心できる人を見つけたようです。同じように4歳ぺんぎん組、5歳いるか組の子どもたちも、4月から新たに出会った先生との信頼関係を築き始め、やりたいこと、嬉しいこと、困ったことなど、安心して思いを出していく姿が見られるようになってきています。
私は、最近7カ月になる孫と過ごすことが多くあります。赤ちゃんは、まだ言葉をしゃべることはできませんが、様々な気持ちを、泣いたり笑ったり、機嫌が悪そうにしたりして表現しています。泣いてるときは私が「どうしたの?」「眠いのかな?」「暑いのかな?」「おなかがすいたのかな?」など、言葉をかけながら抱っこしたり思いを探ったりして、不快な気持ちを解消するとまた、機嫌がよくなります。最近では、自分の親や知らない人との区別がつくようになり人見知りが始まると、初めて会う人の顔をジーっと見て不安そうにします。自分の親や身近な人が笑顔で話していたりすると、徐々に安心して表情が柔らかくなっていきます。
子どもたちは、こうして赤ちゃんの時から、様々な気持ちを1日に何十回も泣くという方法で表現し、お家の方に受け止めてもらい安心する、といったことを繰り返して育ってきています。
みなさんは、アタッチメント(愛着形成)という言葉を聞いたことがありますか?「アタッチメント」とは、子どもが不安な時に親や身近にいる信頼できる「特定のだれか」にくっついて、安心感を得ようとする本能的な欲求や行動のことを言います。「心配なこと、いやなことがあっても特定の人に受け止めてもらうと安心できる。」という経験を繰り返すと、特定の人(保護者や先生)がその子にとっての安全地域となっていきます。その人がいれば、自分が安心だと感じて心が安定することができ、伸び伸びと成長することができます。
このくっつきは、誰にでも何人でもというわけではありません。親や、先生など特定の大人としっかりとした愛着形成をすることが大切です。そのためには、子どもの感情にしっかりと寄り添い、子どもの欲求を満たしてあげることが大切です。そして、自分のことをわかってくれる、安心できる存在と感じ取っていくのです。
このくっつきは、常に寄り添っている、声をかける、何か起こるのではないかと先回りして考えるということではありません。子どもが、不安を感じたとき、恐怖を感じたときなどに、安心できる安全地域となることが大切です。安全地域で安心した子どもは、また、安全地域から出て元気に行動をし始めます。
子どもたちは、この2カ月の担任との関わりの中で、園での愛着形成ができ始めているのですね。
愛着形成は、これからでも作っていくことができます。園生活の中で、お子さんがつまづいたり人との関わりでうまくいかないことがあったりした時など、突き放さず、丁寧にお子さんの心に寄り添ってあげてください。きっと安心して一歩を踏み出していくことでしょう。
これからも、子どもたちの安全地域となり一人ひとりが伸び伸びと遊び、安心して園生活を送ることができるよう努めてまいります。保護者の皆さんも子育てに不安を感じたときは、いつでも園にお声掛けください。