令和6年度 今月の保育の様子

1月 挨拶は人と人をつなぐ  園長 齋藤由美

 新年あけましておめでとうございます。昨年中は、たくさんの温かいご理解とご協力をいただき感謝申し上げます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。2025年は巳年です。巳年といえば「ヘビ」を表す年ですが、昔からヘビは「成長」や「変化」を象徴する特別な生き物と考えられてきました。ヘビは、脱皮することで新しい姿になり、成長していきます。子どもたちの成長もヘビの脱皮のように、少しずつ新しい自分に変わり続けていきます。日々の子どもたちの小さな変化を見逃さず、一つ一つ自信をつけながら成長していく姿を見守り支えていきたいです。
さて、今年度は、キッズビューのアプリにて新年のご挨拶をお送りさせていただきました。これまで年賀状で行ってきたご挨拶も、世の中のデジタル化や環境の変化により、メールやラインでのやりとりへと形を変えてきました。時代の流れとともに、私たちのコミュニケーションの方法も少しずつ変わってきていることを実感されている方も多いのではないでしょうか。便利で効率的な方法が増える一方で、伝える言葉や気持ちが簡略化されてしまうことも少なくありません。
しかし、どんな時代であっても「挨拶」のもつ力やその大切さは変わりません。挨拶は、“人と人をつなぐ第一歩”であり、相手を思いやる気持ちを伝える大切な手段です。
このお正月に我が家ではみんなで集まる機会がありました。1歳3か月になる孫は、久しぶりに会った祖祖母にはすぐに慣れたものの、祖父や叔父には慣れないようで顔を見るとしり込みをして、泣いてしまう姿がありました。まずは、少し離れたところから「こんにちは」とおしりを後ろに突き出しお辞儀したり「ばいばい」と手を振ってみたりすることから始まり、徐々におもちゃを持って行き「どうぞ」と渡しては、「ありがとう」を繰り返し、これが延々と何十回も続くのですが、そうしているうちにいつの間にかニコニコ笑顔になっていきました。子どもは挨拶を通じて、コミュニケーションの基本を学んでいるのだなと感じた一場面でした。
挨拶は単なる言葉のやりとりではありません。「おはよう」「こんにちは」「ありがとう」という言葉は相手に気持ちを伝えることで人と人とのつながりを感じ、子どもたちは安心感や信頼感を育んでいきます。
幼少期から挨拶を習慣づけることは子どもたちが社会の中で生きていくための基礎を作る大切なステップです。相手の思いやりを感じたり自分の存在を伝える、また相手の存在を受け入れたりするそのすべてが挨拶には含まれています。
子どもたちに挨拶の大切さを伝えるためには身近にいる大人自身がよい手本となることが何より重要です。日常生活の中で明るく挨拶をしたり挨拶を繰り返すことの喜びを伝えたりすることで、子どもたちも自然に挨拶を学んでいきます。挨拶は言葉一つで人との距離を縮めることができ、心を温かくする力があります。日々の挨拶の積み重ねが子どもたちの豊かな心を育てます。挨拶ができる子は人とのつながりを感じ、自信をもって社会に出ていくことができます。保護者の皆様もぜひお子様と一緒に「挨拶」をしながら、子どもたちの心の成長を感じていただけたらと思います。
新しい一年が皆様にとって笑顔あふれる素晴らしい年となりますようお祈り申し上げます。そして、園生活の中で大人も子どもも温かい挨拶が飛び交う毎日を一緒に作っていきたいと思います。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。

12月 様々な表現を楽しむ  副園長 大塚玲華

11月15日に本園で研究発表会が行われました。保護者の皆様には、日頃の教育・保育のご協力とご理解、またオンデマンド配信での写真使用のご確認などありがとうございました。

当日、講師の聖心女子大学教授 河邉貴子先生 の講演の中に「子どもの遊びは、様々な体験が地下茎のように心の中に広がっていて、体験のどこかとどこかが結びついて遊びとなって現れる」という言葉がありました。その日、年長いるか組では「おさかな映画館」「おさかなメリーゴーランド」「水族館カフェ」などなど、様々な遊びが友達と行われていました。どの遊びも、学級のみんなで行ったバス遠足の「水族館」の体験が遊びの中に関連づけられています。それだけではなく、映画館ではスイミーの絵本の内容や実際に映画を見た体験、メリーゴーランドでは昨年度の年長組が行なった遊園地の乗り物にお客として乗せてもらった体験、カフェでは実際に外食をした体験や他の遊びで食べ物を作った体験も遊びの中に反映されるなど、子どもたち一人ひとりの心の中に広がっている様々な体験が結びついて、友達との遊びとして現れている様子が見られました。その後、お客さんとして年少らっこ組や年中ぺんぎん組を呼び、年下の子どもたちを楽しませていました。年長組の子どもたちも友達と考えを出し合い、一緒に進めてきたことへの楽しさやうれしさ、考えたことを実現できた満足感を感じていることが表情から読み取れました。年中ぺんぎん組は、お客としてこれらの遊びを体験したこと、自分たちも行った水族館という体験、日々の遊びの中でものを作る体験、水族館だけではない様々な遊びの体験などを結びつけ、早速保育室で「水族館ごっこ」の場を作り、その中で食べ物を作る子やチケットを作る子、水槽に飾る魚やマーメイドをかく子など、それぞれが水族館という遊びの中で思いついたことを表現して遊んでいました。

子どもたちは様々な体験をし、心が揺さぶられると、そのことを「遊び」として表現します。この表現の中には感じたことを言葉で呟いたり相手に伝えたりする表現、作ったりかいたりする表現、歌ったり身体を動かしたりする表現など、様々な形の表現が含まれています。様々な体験を友達や保育者と共有し、遊びや生活の中で楽しみながら様々な形で表現することは、豊かな感性や表現する力を養い、創造性を豊かにします。私たち保育者は、子どもがのびのびと様々な方法で表現をすることを楽しみ、表現する過程の中で人やものと関わり、心や身体、頭を動かしながら学んだり、感性を養ったりすることができるように、子どもたちの興味関心や発達に応じた遊具、用具などの環境を用意したり援助を行ったりしています。

12月には、年中ぺんぎん組と年長いるか組の「こどもかい」があります。各学年が劇という形で表現を行います。こどもかいの取組も保育者が台本を用意し決まった表現を子どもたちにさせるのではなく、日々の遊びと同じように子どもたちの心の中に広がっている様々な体験が結びつき、子どもの心の内から出てくる「表現したい」「表現することは楽しい」という思いを大切にしながら行われます。子どもたちがこれまで体験してきたことを劇の中に取り入れ、のびのびと身体を動かしたり、歌を歌ったり、大道具や衣装をつくったりかいたり、言葉を言ったりして表現することを楽しんだことが感じられる「こどもかい」になると思います。どうぞお楽しみに!