令和5年度 園便り

7月 自然物との出会いや製作を通して  副園長 大萩 純子

 「せんせい、見つけたよー」と、子ども達が毎日のように園庭で宝物を見つけています。それは、オレンジ色のザクロの花、赤くて小さなヤマモモの実、緑色のビー玉くらいの大きさのユズの実(ユズの香りがほんのりとします)などです。大きな木から地面に落ちてきた自然の恵みは、優しい色で、手触りもよいので、子ども達は大事そうに拾っては、先生たちに見せています。また、強く握りすぎるとつぶれてしまうことや、場合によってはつぶすと自然の香りや色が出ることなどなど、様々な感覚を遊びながら知っています。園庭には、アジサイも、ピンクや紫、水色など美しく色づき咲いています。その前を通ると子どもも、大人も、「きれいだねえ」と思わず言葉が出ており、保護者の方々も、登降園時に、その美しさをほめてくださいました。きれいなものを見て、その美しさを感じ、そばにいる人と感じあえる心は、大変大切なことと思います。そのような気持ちを引き出す高井戸西子供園の豊かな園庭が今後も、子ども達や保護者の皆様のために存続してほしいですね。(先日のPTAだより“かざくるま”では、園庭の樹木29種を園庭図面、樹木の説明文、写真入りの紙面で紹介していただきました。保護者の皆様には、園庭の自然環境の保存版として大切にしてくださることをお願いします)
 さて、保育室内もアジサイは花盛りです。学年ごとの発達段階に応じて子ども達が作成したアジサイが満開なのです。どの学年も担任たちは、アジサイの花の色に応じた製作素材を用意しましたが、素材の種類や形状は違います。作り方も違うので、その様子をご紹介します。
 3歳児は、2?の正方形くらいに切った色画用紙を貼って製作しました。かわいい指先で好きな色の紙を一枚づつつまんでは、のりを塗り、楕円形の台紙に丁寧に貼りました。「だんだん咲いてきたね」と担任が話すと、うれしい表情となりもっと咲かせたい気持ちが沸いているようでした。自分のアジサイができたこと、部屋に飾ってもらうことを喜んでいました。
 4歳児は、2?×5?ほどの色画用紙をもんでちぎって貼る製作をしました。担任は、本物のアジサイを目印にして子どもたちが好きな色を選べるようにしました。ピンクのアジサイが活けてあるボトルの前にピンクの紙を、紫のアジサイ入りボトルの前には紫の紙を配置し・・・といった様子です。本物を愛でながら、好きな色を選べる環境でした。紙を優しくもんで、ちぎって貼る手法は、今回初めて経験した子どもたちです。ハサミで切ることとは違うので、手の所作も、仕上がり具合も違い、4歳児の素敵なアジサイができました。
 5歳児は、折り紙を折り、アジサイの花弁を製作しました。5?四方の折り紙を半分に折り、少し開いて折り目を付け、再度反対方向を半分に折って開くという方法でした。細かく折っては開くことの繰り返しは、簡単ではありません。しかし、様々な製作を経験してきた5歳児だからこそ、ちょっと難しい方法で、いくつも花弁を作り、最後に台紙に貼って仕上げて、より本物らしく製作した喜びを感じていました。
 以上のように、製作方法をご紹介することでも、それぞれの学年の子ども達が経験している内容の違いと、成長が感じられます。
 さあ、次は、7月の七夕に向けて様々な手法できれいな飾り作りが始まっています。笹に取り付けて7月7日にご自宅に持ち帰りの際には、どうぞ丁寧に作ったことをほめたり、ご家族でお星さまに願いを込めたりして楽しんでください。
 笹の葉さらさら〜のように、園庭の木々は、さらさらと優しく揺れて、今日も元気に遊ぶ子ども達を見守っています。自然物との出会いや、自分なりに気持ちを込めて製作する経験から、今後も子ども達の素敵な感性が育ちますようにと願います。

7月 年少ことり組

 今月は色水や泥遊びなどで水を使って遊ぶ楽しさを感じたり、水遊びやプールで水の冷たさや気持ちよさを感じたりすることを思い切り楽しみます。また、学級で育てている夏野菜を収穫する喜びや、野菜の美味しさを感じられるように計画していきます。
 生活面では、着替えの機会が多くなります。繰り返し着替え方を伝えていき、自分でやってみようと思えるようにしたり、自分でできた嬉しさを感じられるように援助していきます。
 暑い日や水遊びをした後は、疲れも出やすくなります。子どもたちが子供園で元気に遊べるように、ご家庭では食事のバランスや、早寝をして十分な睡眠をとるなどのご協力を、引き続きよろしくお願いいたします。

7月 年中うさぎ組

 プール・水遊びが始まりました。大きなプールに入ることをとても楽しみにしています。水の気持ち良さを感じながら、喜んでプール遊びに参加し、開放感を味わったり水の感触を楽しんだりするようにしていきます。
 好きな遊びの中では自分の気持ちを動きや言葉で表しながら友達との関わりや触れ合いを楽しめるようにします。
 また、身の回りのことや衣服の着脱などの生活面では、自分のことを自分でしようとする姿が見られるようになってきています。引き続き、自分でできた嬉しさを感じられるようにします。  
 暑い日が増えると、体調が崩れやすくなると予想されますので、ご家庭では睡眠を十分にとって生活リズムを整え、子どもたちが元気に遊べるように、ご協力をお願いいたします。

7月 年長ぞう組

 プール・水遊びが始まりました。水の心地良さを感じて、「顔を水につけてみよう。」「ワニ歩きやアヒル歩きをしてみよう。」「バタ足をしてみよう。」等、自分なりのめあてに向かって取り組めるようにします。
 好きな遊びでは、友達と数人で自分の思いを伝え合って遊びを進めていく楽しさが感じられるように、仲介したり、自分の思いを伝えようとする姿を支えたりしていきます。
 自分たちで育てている夏野菜は、生長を楽しみに水やりをしながら、収穫し、みんなで食べる喜びも味わえるようにします。
 プール・水遊びが始まったり、暑くなったりして疲れが出やすい時期となります。生活リズムを整えて、元気に過ごせるようにご協力をお願いいたします。

6月 心を豊かにする素敵な言葉と心を不快にさせる乱暴な言葉 園長 川嶋 佳恵

 入園から2ヶ月が過ぎようとしています。一人ひとりが園生活に慣れ、門の所で園長の私と挨拶をすると、保育室の前で待っている担任の所まで小走りに駆けよっていく様子が見られるようになりました。園生活が楽しくなってきたということですね。
 さて、一人ひとりが、のびのびと過ごすようになった園生活の中で、聞こえてくるのは、子どもたちの素敵なおしゃべりややり取りです。

 年中の子どもたちが楽しく遊んでいたのですが、途中から思いが食い違い、一人の幼児が大きな声で泣き出しました。私も気になって声を掛けようかなぁと思ってみていると、近くで遊んでいた年長児がすぐにやってきて、「どうしたの?」と頭をなでたり顔をのぞき込んだりします。そして、「泣かなくて大丈夫だよ。」「何が嫌だったの?」ととても優しい声でゆっくり話し掛けます。すると、「○○ちゃんと一緒に○○したかったのに、ダメ!って言ったの。」と泣きながら答えます。その答えを聞いた年長児は、「そうなんだね。それは嫌だったね。泣かなくて大丈夫だよ。先生にお話しに行こう。」と思いを受け止めながら担任の先生のところに連れて行きました。
 さすが年長児ですね。自分が今できることを行いつつそこで終わりにしないで先生のところまで連れて行ってあげる、この素敵な関わりに心が温かくなりました。この幼児の使った言葉とその言い方から、この年長児の5年間の間に関わってきた大人、たとえば、お母さんやお父さん、家族、先生がいかに素敵なモデルであったかということです。自分が、不安な時に、痛かった時に「嫌だったねぇ。」「痛かったねぇ。」と優しく寄り添われた心地よい経験が、年中児に同じようなことが起こった時に本能的に生かされたのだと思います。教え込むだけが教育ではないのです。大人自身の人への関わり方や行動が、たとえ直接的でなくても、子どもたちの人間性に大きく影響を及ぼします。このように考えると、幼児期の友達との様々なやり取りや感情体験とモデルとなる大人の存在はとても重要です。

 先日3歳の子どもたちが水と紫色の草花を入れたたらいに集まり、草花をもみほぐしながら紫色の色水を作っていました。私は、その間に入り、「わぁ、きれいな色だね。ジュースみたい、おいしそう。」と言ってその水を手ですくって「飲もうかなぁ。」と口元にもっていくまねをしました。するとそこにいた4、5人の子どもたちがびっくりしてこちらを見て、その中にいたA児が、「わぁ、本当に飲んじゃダメだよ。」と教えてくれました。そこで、私は、口元までもっていった手のひらのすくった紫の色水を飲もうとして「なーんて(ね)。」と言いながら飲まずに戻しました。そこにいた子どもたちは、ほっとしながら笑います。私は、その様子を見て、もう一度「飲もうかなぁ〜。」と飲むふりをして「なーんて。」と言って戻す行為を数回繰り返すと…隣にいたB児が私と同じように色水をすくって「飲もっかなぁ…」と飲む真似をして「なーんて」と言いながら水を戻します。何度も私のまねをしながら繰り返す様子がとてもかわいくてつい、笑ってしまったのです。すると、A児が「どうして笑ってるの?」と聞いてきます。「Bちゃんが、園長先生のまねをするのがとてもかわいいなぁと思ったから笑ったのよ。」と答えると、A児は、「ふーん。」と答え、私の顔をじっと見ます。そして、「園長先生だってかわいいよ。」と言うのです。私は、予期せぬ言葉に思わず笑いながら「わぁ、ありがとう。でもね、園長先生よりAちゃんのほうがずっとずーっとかわいいわよ。」と言うととてもうれしそうに笑いました。
 このように3歳児であってもユーモアのある言葉ややり取りを面白いと感じると、すぐに私のまねをして同じように楽しんだり、私が言ったB児を褒める言葉を聞いて、園長先生もかわいいよと返したり、その時に自分が思いつく精いっぱいのことを瞬時に考えて行動や言葉で示すのです。素敵ですよね。そして、ここでも、この3歳児の日常行われている家庭や園生活の中での思いやりのあるやり取りや丁寧なやり取りが、活きているのだと感じるのです。このようにその場の空気を楽しんだり、思いやったり、気遣ったり等状況に応じて言葉を遣うことができるということは、人の心を豊かにするとともに、人とつながるためにとても重要なことだと考えます。

 一方、園生活においての友達とのやり取りの中で、腹が立った、けんかをした、思い通りにいかなかった、不満に思った等の状況においての言葉が相手を不快にさせる言葉であることもあります。もちろん、自分自身が腹を立てているわけだから、売り言葉に買い言葉、その場では、知っている最大限の怒りを表現する言葉を発している状態なのでしょう。しかし、いくら腹が立っても、言ってはいけない言葉があります。例えば、「○○しろ!はやくやれ!」「あっちへ行け」「バカ!」その他にもびっくりするような乱暴な言葉も飛び交うことがあります。これらの言葉は、けんかなどの仲裁に入る保育者でもとても不愉快な気持ちになるし、悲しい気持ちになります。言われてしまったお友達はもっと傷付くでしょう。
 このような言葉がご家庭で聞かれた時には、「どこでこんな乱暴な言葉を覚えたのだろう。」と思うこともあると思います。子どもたちを取り巻く環境を考えると、園での集団生活が始まると、ご家族とつながっているだけでなく、様々な友達との関わりがあります。また、テレビやYou-tube、アニメ等からは、様々な情報が得られ、心を豊かにする素敵な言葉もあれば、人を不快にする乱暴な言葉やバイオレンス的な表現を耳にすることもあると思います。発達の著しい幼児は、そのような環境から得た言葉を自分の知識として増やしていき、あらゆる場面で、遣うようになります。だからと言って、このような環境をすべて無くすことはできませんね。

 ここで大事なのは、乱暴な言葉を覚えた原因を追究するのではなく、生活の中で、モデルとなる子どもたちの周りにいる大人が、やり取りの中で相手を思いやる言葉を大事にしながら丁寧な会話をすることと、トラブルになったとき、腹が立ったときに気持ちを尊重しながらも、人を傷つける言葉や人を不快にさせる言葉、命令口調等の乱暴な言葉は、絶対に言ってはいけないということを繰り返し伝えていくことだと考えます。高井戸西子供園でも、遊びや園生活の丁寧なやり取りの中で、相手を思いやる優しい言葉や楽しさを共有できる言葉等心を豊かにする素敵な言葉を大事にし、人との温かいつながりを作っていけるようにするとともに、腹が立ったからとか、喧嘩をしたからという場面であっても、人に対して言ってはいけない言葉や人を不快にさせる言葉を遣ってしまったときには、幼児の気持ちを受け止めながらも、毅然とした態度で指導していきます。
 そして、このような明確な意図をもった大人の丁寧な関わりは継続性、連続性が大事だと思います。つまり、園とご家庭の指導がつながっている必要があるということです。「人を傷つける言葉や乱暴な言葉は言ってはいけない」と自身で理解し、場面場面で適した言葉を選び、心を豊かにする素敵な言葉を発することができる子を育むために、ご家庭でも言葉に関して園と同じように明確な意図をもって丁寧に関われるといいですね。

6月 年少ことり組

 園生活にも慣れ、保育者に見守られながら、自分のことは自分でしようとする姿が見られるようになってきています。自分でできたことの嬉しさが、次につながっていく様子も見られています。また、自分の気に入った遊びや簡単な製作を繰り返し楽しんでいます。ウレタン積み木では、おうちを作ってご飯を食べたり、乗り物を作り教師や他の幼児と一緒に乗って触れ合ったりすることも楽しくなってきています。
 今月は、水遊びが始まります。水遊びを通して、水の感触や心地よさを感じられるようにし、プール遊びを楽しみにできるようにしていきます。砂場遊びでも水を使った泥遊びをたくさん楽しんでいきます。遊んだ後は、汚れた手足を洗ったり、着替えたりすることも繰り返す中で自分でできるようにしていきます。

6月 年中うさぎ組

 製作や場づくりなど、自分のやりたいことを見付けて遊ぶことや、その中で友達と一緒に同じものを持ったり、同じ場で遊んだりする楽しさを感じています。中型積み木では、立体的に積み上げて家や車などの場を作ることを楽しむようになってきています。
 今月は、自分のやりたい遊びに取り組む中で、いろいろな素材や遊具を使って遊ぶ楽しさを感じられるようにしていきます。自分なりの思いや動きを出すことで、思いがぶつかり合う様子も見られるようになってきているので、保育者がお互いの話をよく聞き、思いを受け止めて言葉にしながら、それぞれに思いがあることを知れるようにしていきます。
 プール指導が始まります。水の心地よさや感触を楽しめるようにしていきます。一人で水着に着替える、髪や体を拭くなど、自分でできるようにご家庭でも練習してみてください。

6月 年長ぞう組

 やりたいことを見付けてじっくり取り組んだり、気の合う友達と一緒に共通のイメージをもって遊ぶことを楽しんだりしています。大きな砂場で友達と共通のめあてをもってダイナミックに遊んだり、大型積み木や巧技台などの友達と一緒に力を合わせて使う遊具も使い始めて、友達同士で声を掛け合って遊んだりしています。また、伝えたいことや分かってほしいことが増えてきて、友達同士でのやりとりも増えてきました。その分、思うように自分の思いが伝わらないもどかしさや葛藤を感じている様子も見られます。
 今月は、自分の思いを言葉で伝え、相手に伝わる嬉しさが感じられるようにしていきます。また、一方的に自分の思いを伝えるだけでなく、友達の思いにも気付くことができるようにお互いの思いを引き出し、聞き合うことができるようにしていきます。
 プール指導が始まります。水の中で動いたり、遊んだりする中で、気持ち良さや開放感が味わえるようにしていきます。