令和5年度 園便り

1月 みんなのしあわせを創るために  園長 川嶋 佳恵

 謹んで新春のお喜びを申し上げます。今年は、龍(辰)年です。昨年の兎年は、「芽を出した植物が成長していき、茎や葉が大きくなる時期」で「目に見えて大きく成長する年」でしたが、たつ年の辰には、「ふるう、ととのう」という意味があり、「草木が大きく成長して活力が旺盛になる時期」で「これまで努力してきたことが、しっかりとした形になる年」なのだそうです。また、辰すなわち龍は、十二支の中で唯一の架空の生き物であり、古来より中国では力の象徴とされ、大変縁起の良い生き物とされています。2024年は、すべての人にとって、昨年度までの努力しながら蓄えてきたものが実を結び、成就する素晴らしい年になるようお祈り申し上げます。

 さて、杉並区では、どの校種においても教育ビジョン2022で掲げている「みんなのしあわせを創る杉並の教育」をめざし、それぞれの段階に応じた教育に取り組んでいます。昨年度の園だより1月号では、その一つとして高井戸西子供園がめざす特別支援教育についてお伝えしましたが、今回は、少し視点を変えて「みんなのしあわせを創る杉並の教育」についてお伝えしたいと思います。
 保護者の皆様は、日々の自身の子育てについてどのように感じられているでしょうか。保護者の方自身がお子様の成長を喜んだり躓きに悩んだりしながらも小さなお子様との生活を楽しんでいらっしゃいますか。楽しみながら子育てできるということは理想的ですが、「小さい子って何やってもかわいいなぁ。」とか「小さい子どもとともにする生活は最高に楽しい!」と思える瞬間はあっても、日々の生活の中では、ちょっとしたお子様の行動の中で気になることが見えたり、発達面や情緒面で何らかの躓きが気になったり、お子様の友達関係にいろいろ思うことがあったり…または、ご家庭での様々な場面でのお子様と保護者の方とのやり取りがこじれて泣き続ける、癇癪を起して二進も三進もいかなくなる等「子育てって思ったようにいかないなぁ」と悩むこともありますよね。また、様々な情報過多な世の中において、例えば、子どもに寄り添う姿勢が一番大事とか母は(父は)こうあるべき等いろいろな価値観で自分を縛って苦しくなることもあるかもしれません。私は、園長として、様々な保護者の方の子育ての悩みについてお話を聞く機会があります。御相談にいらっしゃる保護者の方は、子育ての難しさや自分の苦しさ、中には、自分の関わりや子育ての仕方が悪いからうまく育っていかないのかもとご自身を責めて自信を無くしていらっしゃる方もいらっしゃいます。
 このような時に、私が思うことは、しっかり園生活の中で子どもたちの育ちを支えることはもちろんですが、保護者の方の心を何とかほぐしてあげたい、自分だけが思い詰めて子育てに苦しむことがないようにしてあげたいということです。一人の人間を育てるということは、そんなに簡単ではありません。数十年幼稚園や子供園で教育・保育に携わってきた私でも、指導・援助に悩むことはあります。それは、お預かりするお子様一人ひとりが決して同じ人間ではないからです。個々の個性や性格、生育環境等様々な背景に応じた関わりが必要になるからです。それは親子でも言えることです。親子だからお母さんやお父さんの言うことをお父さんやお母さんと同じように感じて返事をしたり、行動をしたりするかというとそうではありませんね。小さいけれどその子だけの個性や人と成り、思いや考えがあるわけです。このように考えると親子で似ている部分はあってもすべてが同じではない、ものの感じ方や興味をもつもの、性格等すべてが似ていない親子もいると思います。まして、子どもたちは、まだまだすべてが未熟ですから、自分の考えや思い、何が不快なのか、何がもどかしいのか的確に表現することが難しいので、大人がいくら寄り添おうとしてもうまくいかないことがあります。そして、毎日、お子さまとやり取りする中で、思いが通じ合わず、関係が乱れたり崩れたりする時間が繰り返しあったとしたら、お子様はもちろんですが、関わっている保護者の方の心も苦しいはずです。
 そのような時には、どうか、一人で抱え込まず、保護者の皆さんのサポーターである園長や副園長、担任にお声がけください。子育てに正解があるわけではないので、明確な解決方法は見つからないかもしれませんが、子どもたちのことをよく知っている私たちに、話をしたり、一緒に解決方法を探ったり、保護者の方の心に寄り添ってもらったりすることで、保護者の方自身が子育てを一人で抱えることのないようにし、ボッチ感や自責の念を払拭しましょう。もちろん、園の職員以外でサポーターや味方になってくれる人がいるのならば、その方に相談したりお話をするのもいいでしょう。とにかく、保護者の方自身にとって楽な気持ちになれる相手に相談したり、助けてもらったりすることは、保護者の方自身を穏やかに楽しく子育てできるように導きます。
 様々な自分の感情を抑え、お子様のために頑張ったり、お子様のためを思っていろいろ試行錯誤しながら関わったりすることは、とても尊く素敵なことだと考えます。ですが、そのことで保護者の方自身が苦しさや悩みで余裕がなくなったり、笑顔でいられなくなったりする状況は、お子様にとっても保護者の方にとっても「しあわせ」な状態ではないのです。杉並区が目指す教育の「みんなのしあわせ」には、子どもたちだけでなく子育てに携わる保護者の方、ご家族の方も含まれています。だから、「子育てはこうあるべき」、「子どもには、このように接していくべき」というマニュアルや型にそった親であろうとするのではなく、味方になってくれる誰かを頼って、自分が穏やかに、冷静に、笑顔でいられる状況を作り保護者の方自身がしあわせであることが、お子様のしあわせを創っていくのだと信じています。高井戸西子供園では、3学期も「みんなのしあわせを創る教育」が実現できるよう職員一同、力を合わせて頑張ります。

1月 年少ことり組

 1月は、2学期までの再現遊びに加えて、容易く扱える手回しコマや凧揚げ、カルタなどのお正月遊びや、寒い日に氷や霜柱が園庭にできた時には自然の不思議さを感じながら、氷を使った遊びなどを楽しめるようにしていきます。
 またお話の世界に親しみながら、ごっこ遊びもして色々な役になりきることや、学級のみんなと一緒に表現することも大切にしていきます。そしてその表現遊びは2月の「子ども会」につながるようにしていきたいと思います。歌に合わせてリズムを感じながら楽器を鳴らすことも楽しんでいきます。
 戸外では、引越し鬼などをして、友達や保育者と一緒に体を動かす心地よさを感じながら簡単なルールのある遊びを繰り返し経験していきます。

1月 年中うさぎ組

 1月は、カルタやすごろくなどのお正月遊びを繰り返し楽しむ中で、ルールが分かって友達と遊ぶ楽しさを感じられるように支えていきます。また、引きコマ回しを繰り返し楽しむ中で、コマが回せた喜びも感じられるようにします。
 2月の「ミニミニコンサート」に向けて学級の友達と一緒に歌ったり、楽器遊びをしたりする中で、声や音を合わせる楽しさや心地よさを味わえるようにしていきます。
 寒さに負けず、鬼遊びやボール遊びに取り組み、戸外で元気に体を動かして遊ぶ楽しさを感じられるようにしていきます。また、氷や霜柱など、冬ならではの自然を発見したり、みんなで見たりする経験も大切にしていきます。
 3学期は年長組からお休み調べやモルモットの世話などの仕事を引き継いでいきます。ペアの友達と一緒に取り組みながらやり方を教わり、年長児への憧れの気持ちや、進級への期待感をもてるように支えていきます。

1月 年長ぞう組

 いよいよ子供園生活最後の3学期が始まります。一日一日を大切にしていきながら、友達との遊びや生活を思う存分楽しめるようにし、一人ひとりの成長を支えていきます。
 今月は、友達とお正月遊びや戸外で体を動かして遊んだりすることを楽しめるようにしていきます。お正月ならではのカルタやトランプ、すごろくなどの遊びをしながら、文字や数字への興味・関心がもてるようにしていきます。また、投げコマ回しでは、繰り返し挑戦する中で、手先を使ってひもを巻いたり、力の加減をしながらコマを投げたりする経験をし、できなくても諦めずに取り組み、回せた達成感を味わえるようにしたり、友達同士で励まし合ったり認め合ったりする姿を大切にしていきます。
 2月には「ミニミニコンサート」があります。様々な楽器に触れて、学級の友達とリズムや音を合わせたり、気持ちを一つにして歌ったりする心地よさを感じられるように支えていきます。

12月 空想力や想像力の心の中のお部屋  副園長 大萩 純子

 以前私が読んだ書物の中に、“子どもたちの中にファンタジーの世界を育てていくことが大切である”ということが書いてありました。ファンタジーとは、「空想力や想像力によって生み出されたことや、そこから生まれる世界観」といったことです。その世界観は、無邪気に何かになりきって遊べる幼児期から心の中に育まれると、様々なことに想像力を巡らして楽しく遊んだり、豊かに物事を考えたりするお部屋が心の中にできていくということのようです。私は、日頃、子どもたちが何かになったつもりで遊んでいる楽し気な姿に接したとき、その言葉をよく思い出します。その姿は、自分なりの想像力を巡らしていくことが夢や希望、新たな自分に出会うこと、他者と親しみ合うこと、その時々の状況を感じる気持ちや、自分なりに表現する喜びを得ることなどのきっかけに出会っていると感じるからです。
 子供園の各学級で行われている絵本や紙芝居の読み聞かせのひとときも、上記のことに関連しています。お話そのものの面白さや楽しさに出会うことで、子どもたちの空想力や想像力が生み出されています。
 年少組では、コオロギが園庭で鳴いている時期に、コオロギが登場する絵本を担任の先生が読み聞せると、園庭で耳を澄ませてコオロギが鳴いている場所を探したり、見つけては大切にお世話をしたりしていました。そして「鳴いているね」「お友達を呼んでいるのかな?」などと言い、虫の様子を想像した楽しい会話も出ていました。
 そして年中組と年長組は、今、親しんできたお話の世界をもとに、子ども会に向けた表現活動に取り組んでいる真っ最中です。年中組では「いつの間にか、この本は使い込まれた感じになってきました」と担任がつぶやくほど、子どもたちは、先生が読み聞かせた本を手にし、繰り返し見ていました。その後に始まった、劇ごっこでは、登場人物になりきった動きや合言葉、お面や身に着けるものつくりなどを楽しみ、その子なりにとらえた登場人物の特徴を、表現することを楽しんでいます。
 年長組では、少し長いストーリー性のあるお話の面白さを感じるようになってきています。先日、私が「ごっこ遊びをしているそのお話は、どんなお話なの?」と数人に尋ねると、「ちょっと待っててね」と言い、他の友達も加わりながら本棚からその本を持ってきてくれました。「このお話はね…」と友達と一緒に、口々にその内容を教えてくれたのです。友達とお話の世界を共有しあっている温かな気持ちが感じられました。そして、そのものらしく衣装や、道具などをつくりながら、仲間と一緒に劇にして表現していくことも楽しんでいます。    
 このようにお話の世界に親しみ、自分なりの思いを出したり、学級の仲間や先生と一緒に感じ合ったりしながら、個々に感じてきたお話の世界を自分なりに楽しむ、学級の仲間と共感しあうといったことが、空想力や想像力から生まれる心のお部屋が広がっていくことでしょう。今後も、子供園の中で、このような取組を大切にしていきたいと思います。

12月 年少ことり組

 急に寒くなってきましたが、子どもたちは元気いっぱいに園庭に飛び出し、園庭の落ち葉やどんぐりなどを砂場の具材に見立てて料理を作ったり、他の幼児と一緒に体を動かしたりすることを楽しんでいます。また、ごっこ遊びの場を作ることや、その場にいる他の幼児と一緒に、簡単なやり取りをしたり、一緒に動いたりすることも楽しんでいます。
 今月は、簡単なルールのあるゲームをしたり、表現遊びや楽器遊びをしたりしてその遊びの楽しさを経験するようにしていきます。また、少しずつクリスマスに向けた製作にも取り組んでいきます。寒さに向かう時期ですが、今後も戸外で体を動かす遊びもできるようにしていきます。
 寒くなり上着を着るようになってきたので、裏返しになった袖を元に戻したり、ファスナーやボタンを自分でしたりできるようにしていきます。

12月 年中うさぎ組

 園庭や保育室に家や車をつくったり、様々な素材を使って料理したりして遊ぶ中で、友達に自分の思いを出しながら一緒に遊ぶ楽しさを感じています。
 今月は、自分の思いを言葉や動きで表しながら、友達とやり取りをして遊ぶ楽しさを感じられるようにしていきます。
 子ども会では、動物になって動いたり、簡単なセリフを言ったり、劇遊びに必要なものを自分たちで作ったりしながら表現する楽しさをたくさん感じられるようにしていきます。
 友達と遊びたい思いが強くなってきた分、思いがすれ違ったり、言葉でどう伝えてよいか分からずもどかしい気持ちを感じたりと、葛藤する姿も見られるようになっています。自分の思いを出し、友達の思いに気付いていくことができるように友達との関わりを支えていきます。

12月 年長ぞう組

 子ども会に向けて仲間と一緒に劇の取り組みを進めています。お話のイメージが共有されてきて、友達と一緒に必要なものを作ったり、自分なりに役の気持ちを考えて表現したりしています。その中で、友達と一緒に考え合ったり、友達の良さに気付いたりする経験を大切にしています。また、自分の登場する場面だけではなく、他の場面でも役割をもつことで自分たちの劇という意識をもって取り組んでいけるようにしています。学級の仲間と一緒に劇を作り上げていく達成感や満足感を味わえるようにしていきます。
 戸外ではドッジボールや短縄など、自分なりにめあてをもって繰り返し取り組む楽しさを感じられるようにしていきます。
 今月は、クリスマスや年の瀬など季節の行事もあります。行事の意味を知り、季節ならではの遊びや製作を楽しんでいきます。また、生活に見通しをもち、自分たちで生活を進めていく気持ちが育っていくように支えていきます。